第10章 準備と発明
絞り出すように声が喉から出る中、ただただ…君の気持ちばかりが気になった。
苦しみばかりの過去の中、やっと掴んだ光と温もり…
それさえも街の人達は奪い、高笑い、復活した魔物が襲い掛かった。
心が完全に潰れて、記憶を失って…精霊に導かれるままオラリオまで来た。
そんな君だから、過去を思い出すだけで…また、潰れてしまうのではと…容易く想像できた。
だからこそ伝えたかった。
今はもう一人ではないのだと…
その潰れそうな心を一人きりで抱えず、寄りかからせていいのだと。
ケイト「……わかった。
信じて話す。頼る。不器用で伝わんないかもだけど頑張って…話すよ」
フィン「うん(なで)
そうやって打ち明けるだけでも勇気を出して頑張って伝えようとしてるのはわかってる。
人を傷付けたくなくて、負担も痛みも残したくなくて頑張ってきたことも知っている。
その頑張りも大切なものかもしれない。
でも心配している人がいることを忘れないで欲しい。
育ての家族にしていたように接していいんだ」
ケイト「!!…」うるっ
頭を撫でながら述べると…
その当時の温もりを思い出してか、涙を浮かべた。
今はもうないものかもしれない。
でも…残したのは痛みだけじゃないはずだと言ってやりたかった。
フィン「心が壊れそうになるのを、黙って見ていられないだけだ。
そのことで、君の心に負担もかかるだろう。
それでも…君の潰れそうな心をただ見ているだけの人間にさせないでくれ」
ケイト「っ//…
何で…今、言うんだよ;;ぐすっ」ぼろぼろ
フィン「僕はね…君を『生涯の相手』だと決めたんだ。
だからこそ、ちゃんと真摯に向き合いたい。
将来君の夫になるからには、君のその痛んだ心を無視したくない。
僕は…君とは生涯、きちんとした関係を育みたいからね^^」
その言葉を放った瞬間、涙腺が切れたかのように大粒の涙をぼろぼろと零し出した。
心からの言葉を伝えたんだけど…効いてくれたのかな?