第63章 新たな来訪
『私は…私は、ケイトと一緒に生きていたいよ』
あの時ティオナが掛けてくれた言葉(2625ページ参照)…その端々に、そう感じた。
アル「マアマ…よくわかんない」
ケイト「うーん…
あのね…守る立場の人が、人を殺したとするでしょ?」
アル&ディ『うん!』頷
ケイト「その後、顔色一つ変えず、何事も無かったかのように、笑って過ごされたら…どう思う?」
アル「やだー!」
ディ「嫌い!」
ケイト「何で?」
アル「しんようできない!」
ディ「まもられたくない!」
ケイト「だよね…
守る立場にある人が、人を殺す。
それに嫌悪を感じるのは…『人を守る』という立場にあるからだ。
その『殺した人』もまた、『守るべき対象』にあるからだ。
金稼ぎの為、という立場なら…別段復讐されることも覚悟の上だ。
無論、全て考慮した上で…殺していっているだろう。生きる為に…
もし守る立場の人が…殺された人の経緯や気持ちを、殺された遺族の気持ちを、守られる立場にある人のそれを……
その覚悟も無いまま、遺族から責められるのも復讐されるのも筋違いだと言う輩なら
アル&ディ『やだ!まもられたくない!!』
ケイト「早い話がね…彼の自警団の場合…
トップの彼がそうあるから、下っ端までそれをお手本として同じことをしまくっている。
そうして…自然と、そういう集まりになってしまう。
たとえやってない人もいたとして、律する人は少人数。
段々と在り方が瓦解していき、頑張って律しているのが馬鹿らしくなり…
気付けば……ほぼほぼ全てがそう在り…復讐の対象として認知される。
それが世間にまで渡り…世界まで蝕み…世界ごと壊されるに至った。
罪の無い人達も、動物達も…ありとあらゆる全てが……
と言っても…遠い遠い別世界の話だけどね」
アル「律しなきゃダメ」
ディ「律しなくていい所はダラン」
ケイト「人を殺すということは…人を守る立場において、してはいけないことだ。
守られる立場にある人、遺族を哀しませることになる。痛み、苦しみ、怨み、憎み…怒り。
それは…人として、与えてはいけないものだ。
人を守る立場として、敵も味方も誰も殺さず、生かす武術と魔術を身に付けた存在。
それが防衛専門部隊――『防衛隊』だ」
アル「カッコいい!//」キラキラ
ディ「私は冒険者なる!」ふんすっ!