第10章 準備と発明
きっと精神的に参っているだろうと気を回したティオナ達によって、パジャマパーティーをしていた日のことだ。
眠ってから数時間後、過去の悪夢を見て飛び起きた。
「人間など滅んでしまえ!!!」
その叫びと共に魔力が解放された中、たまたま近くに居たことで気付いて駆け付けた。
辿り着いた時に見えたのは、自分自身の荒れ狂う魔力を必死に御そうとしていた所だった。
当時はLv.5だったが、魔力だけは凄まじかったこともあり…荒れ狂いかかっているのが見て取れた。
「憎い。やめろ」
最初に聞こえた声はそれだった。
暴れそうになる自分を必死に押さえ込んでいた。
涙ながらに必死にやめろと言い聞かせていた。
失いたくない一番大切な人達がいる場所だと、諫め続けていた。
十年以上募りに募り続けた憎しみは、怒りは、恨みは…決して消えはしない。
一人であればあるほど、その傷や想いは消えはしない。
楽しい想い出を紡げる人がいれば別だが、一人としていなかった者にとっては…別だ。
そのことが否が応でもわかったのは…当時のケイトの行動からだ。
ケイト「自分は傷付くのが普通だっただろ。傷付けられる為に産まれてきたって何回言われてきた?
何回され続けてきた?生みの父親から殺されかけたあの時、悟ったはずだったろうが!!
失血されかけてもなお、結局はまた回復される。
全身のほとんどの血を流してもなお、負けじと精霊寵愛が回復し続ける。
それでもやめたことなんて一度でもあったか?無かったよな。
そういうもんだっただろうが。黙れよ。泣くな、喚くな。いつも通り潰れてろ!!」
必死に自分に言い聞かせながら殴り続ける光景を見て、胸が痛んだ。
いつもそうすることで乗り越えてきたのだと、そうしていなければ生き続けてこれなかったのだと否が応でも伝わってきた。
そんな彼女に対して僕らが取った行動はただ一つ。
彼女の自身を殴って傷付け続ける行為を、その手で止めてやることだった。