第63章 新たな来訪
ケイト「…お前の中の毒は、除去しておいた。
今後も出されたものは全て食べて飲め、怪しまれる。
毒のみを自動的に体外へ、いや、怪しまれるから空間収納庫の袋へ瞬間移動させる魔術式を、お前の身体に刻んでおいた。
いいか?
自分の頭で考えろ」
貴族「?(妙に頭がすっきりする…何でだ?」
ケイト「自分の目で見極めるんだ。
周りに言われるがままに行動するな、操り人形になんてなるな!
真の意味で生きろ!!」
貴族「……」涙
不意に涙を零す理由は何故か…よくはわからない。
だが…何かの変化を感じた。
毒に侵され、意思すらも奪われ、大臣とやらの操り人形となっていた。
思考能力を著しく引き下げる毒によって、浅慮な行動が目立っていた。
が、悪いようにはしたことが無いという実情から…本心では助けを求めていたようだから、結界を通されたのだろう。
ケイト「いいな?
その気になれば、誰だってお前を殺せる。
私だって殺される。
世の中とは、そういうものだ。
理解しろとは言わない。だが覚えておけ。
毒でも何でも…殺されない相手は、この世に一人としていない!
自分の命を大事にしろ。
そして人のもまた、自分と同じぐらい大事にしろ。
私が求めるのは…それだけだ。
それ以外は好きにしていい。
だから…お前が、お前であることを…諦めるな」
貴族「!」
すとっ←貴族の子を下ろす
ケイト「居場所が無いのなら作れ。
自分から動け。頭をフル活用しろ。
お前は…本来は、私なんかよりよっぽど頭がいいし切れるんだから」
貴族「……
(はっ!)
ありがとう…
あれ?何で僕は…ここに?」
ケイト「国では馬鹿な振りをしていろ。
殺されるぞ」
すっ
そう言うが早いか、背を向け…分身を解いた。
諜報員によると…貴族の子は勉学に励んだ。
が…その身近に、執事の爺が常にいた。子の言動に常に目を光らせていた。
それこそが、この国を乗っ取ろうとする大臣との内通者であり、協力者。
貴族の子、その兄と父に、今も毒を盛り続けている張本人であった。
学舎へ留学し、より皆の役に立つ為と国王から直々に許しを得、コクーンからの国王直通の手紙で国王に密告。
諜報員による首謀者と関係者及び協力者の情報も纏めて送っていた為
早急に取り締まられ、事態はすぐ鎮圧化されたという…