第10章 準備と発明
それから後…知識の整理が終わってから自分の役割を考え出した。
遠征では団体戦(レイド)が主体になる。
各々で役割分担され、遊撃隊に入れられた。
その中でも自分が特にできるものはと見出していた、のだが…
身体能力的に並んだ当時、剣術だけは一応アイズに勝っていた。
勝ったことでそう思いかけていた。
でも改めてフィンやリヴェリア、ガレスと戦ってみた所…穴に気付いた。
相手が攻撃してこない場合、攻撃して動かさせるか、隙をわざと作って誘うかで攻撃をさせ、しようとした瞬間に突き込む。
フェイントの場合、瞬時に持ち直して対応できる。
だがその動きは逆を言えば読みやすい。真っ直ぐ過ぎる。
攻撃された時や動き続ける相手には、柔軟に対応できる。全て防げる。
だが防御を取り続けられた場合、決め手となる対応技術が皆に比べれば欠けている。
決め手となる一撃を放った場合、それは誘いであることが多い。
その防御の為に右手の剣で常に身構えている。
堅実ではあるが、その攻撃ごとぶち破る武器が自分にはないと気付いた。
全身の使い方やそれに伴う素早さ、武器を扱う器用さ、それらに伴う攻撃&防御速度は群を抜いているらしい。
が、上記の動きから長期戦に持ち込まれることが多い。
アイズとの戦いでもそうだったが…
相手の動きや癖、その全てを把握した後でなければ決して自分からは攻撃に出なかった。
癖になっているのだろうと指摘された。
最初から飛ばしてやればいいのだが…怖いのだ。
傷を付けられれば、当時のことを思い出す。
錯乱してしまうかもしれない。全員を傷付けてくる対象と見て、逃げ惑ってしまうかもしれない。
それが怖いのだろうと、理解を深めた。精神の表れだと、その時になってから気付いた。
でも…フィンやアイズに自分で編み出した技術を教えていく内、自分の強みに気付いた。
誰にも負けないぐらい魔力だけはある。体内の魔力操作だってできる。魔力経路だって拡く大きい。
魔力を集中させることに伴って身体能力を大幅に強化できる。
ファルナを受けてない状態でもなお、Lv.6の身体能力と並ぶぐらいに…
でもオッタルには通じなかった。
その死力を尽くした死闘の果てに…限界を超えたその先にやっと、それ以上のものに辿り着いた。
ドラゴン・ソウルを完璧にものにすることを目指した。