第62章 新たな邂逅
中にあったのは…三枚の、スカイボードつきのコクーン入場券だった。
青地に白く筋を走らせたような雲の模様の券が三枚。
その後ろにあった、一つの紙切れに書かれた文字を見て…固まった。
「頑張れ」
短く、たった一言しかない手紙…
だが…添えられた入場券から、その想いは十分伝わってきた。
信じているぞと、確かに…伝わってきたんだ。
彼「俺…俺……頑張っても…いいのかな……
諦めないで…いいのかなっ」ぼろぼろ
そう、涙するばかりだった。
いつまで経っても入れない。
いつもずっと、周りから否定され続ける。
疑われるだけだった、入る為だけと勘ぐられ続けた。
その時、母からケイトの伝記を見せてもらった。
彼の母「ケイトさんの英雄譚ね!
人気が凄くってずっと在庫が無くってね、図書館でも借りられないぐらいだったの。
けど一か月前から予約してて、やっと一冊手に入ったのよ^^♪(ルンルン)
今日は奮発しちゃおう♪」ららら~
受け取った英雄譚を読み、一筋の光が指した。
「進め…決めたのなら、その道をひた走れ。
譲れぬ信念を貫き、本当の意味で生きよ。
譲れる所は譲り、折り合いをつけて付き合ってゆけ。
人は一人では生きてはいけない。
恩人、仇、分け隔てなく愛し、慮るべし。
隣人と想い、その心に寄り添い、誰をも大切にすべし」
規範に述べられた内容を見て、彼は決意した。
奮起した。
その日…彼は、ケイトを心の師と仰ぐことにした、らしい。
ケイト「!?;」←当時、彼の想いがなんとなく伝わった際のケイトの反応
勉強でも、嫌々やるのとではかなり違ったらしい。
ダメに決まっていると思いながらやれば、ダメになるのは当然のことでもある。
全身全霊で取り組んだことで、ようやく83点取れたのだそうだ。
再び時は戻り…国外出張売り場
商人「で?スカイボードはここで買うかい?」
彼「いいえ」頭振る
銀髪「え?」
黒髪「何でだ?」
彼「……コクーンに入れなきゃ…あの人にちゃんと会って謝るまでは、買うべきじゃない。
そう、思うんだ…
ケイトさんなら、絶対そうしていると思うし。
手に入れるのは…――ちゃんと、ケジメを付けてからじゃないと」
商人「なら、これはおいちゃんからの餞別よ。
お守りね(にっ)
これ持って頑張れ」