第62章 新たな邂逅
『どれだけいい人だと見られたいんだ』
そう心無い言葉を吐き掛けられ、傷付いているケイトの姿が見られた。
が…僕はそれに耳を塞ぐように手をかけ、優しく頭を撫でた。
ケイト「…ありがとう」微笑
フィン「こちらこそ…
人にしたことは巡り巡って自分に返ってくること。
悪いことをしていなくとも理不尽には遭うこと。
それらを胸に生きていくこと。
そう国法として宣言したのだから…気にしないでいればいい」
ケイト「私は…厄介者でしかないのかな…」
フィン「それはないよ」
ケイト「教え方が悪いのかな?」
フィン「それもないよ。
ちゃんと伝わっている。
君が…最善を常に考えていることは、皆の幸せを本気で想ってのものだということは」
ケイト「私は…合わない人を、殺すやり方をしているのかな?」
フィン「君はよくやっているよ。
これで無理なら誰でも無理だ。
相手の気持ちを、ちゃんと考えている。
最大限譲歩して、歩み寄った上でも無理なら…それはどうあっても無理だ。
無理にすると言うのなら…それは、合わないものへ、互いに合わせようとする行為だ。
そんなものはお互いの為にはならない。
何よりお互い辛いだけだ…現に、合わない人とは反目し合うだけなのだから……」
ケイト「彼は考えない…悩まない…
互いが円満にいく為にも…幸せを堪能できる為にも…必要な行為なのに……
でもしない。
だから、間違いに気付かない」
フィン「気付いたとしても非を否定するばかりだっただろう?
諦めが肝心、という言葉もある」
ケイト「!
それは…見殺しにしろってこと?」
フィン「神様が見切りをつけた意味、わからない訳ではないだろう?」
ケイト「彼にいずれ訪れる不幸は…無視しろってこと?」
フィン「…それは違う。
本人が、自分で仕出かしたことだ。
たとえ誰が何と言おうと、その責任は本人にしかないし、本人にしか取れない。
遺族の心を、気持ちを無視している言動となってしまっている。
それに気付けないままだ」
ケイト「…正しいとか、間違っているとかの話じゃないんだ。
誰だって苦悩はするだろ?
その末に間違うことだって、誰でもある。
たった一度のそれで、白蘭は殺された。
誰かが間違って、その矛先が自分へ向かう度に、殺すことになる。
それで殺していったら…人類は滅亡する。