第62章 新たな邂逅
ケイト「防衛隊は取り締まるもの、国王や王族は統率するものとして、国民の模範となるべき。
傷付けず、殺さないことを相手へ求めるのならば
こちらは常に傷付けず、殺さないことをどんな相手にも言動に示し続けなければならない。
でなければ、そこに信頼など生まれないし、されるはずもない。
傷付けたくない、殺したくないと本気で思うのなら
言動で示さなければ、誰も本当の想いなどと思わない。
態度で、言動で、示し続けなければ、寄り添おうとしなければ、誰もついては来ないし、信頼も得られない。
殺そうとしてくる相手にも、その背景や経緯を想い、力で止めた後に隣人のように寄り添い、理解しようと歩み寄らねばならない。
アフターケアも何もなければ、止められた人からすれば、「ただ自分を苦しめただけの相手」としか相手の目には映らない。
殺す言動に至るまでの苦しみの上に、更に力で無理矢理止めれば、本人の苦しみはただただ増すだけ。
苦しみを上乗せしている立場であることを理解した上で、相手の助けになりたいと心から歩み寄らなければ、和解など到底出来ない。
隣人と想い、寄り添い、慮る。
尊重し合わねば共存など出来ないし、共生もまた然りである。
人にするからには、同じことをされる覚悟と責任を抱くべし。
理不尽に理不尽で返すべからず、した時点で愚かな同類に成り下がると自負すべし。
だが理不尽を与えていなくとも、理不尽を与えられることの方が極めて多い。
何から何までが理不尽か、人によって変わる。
いずれ与えられるのだからと勝手な解釈で好んで他へ理不尽を与え続けることは、人として極めて愚かな行為であり、争いしか生まない。
確執やわだかまりやしこり、怨みしか生まないし、残らない。
勝手な行いばかりするのではなく、他も自らと同じぐらい思いやる心を持つべし。
己の勝手ばかり通していては、他からの信頼は得られないし、あってもいずれは離れてゆく。
その道の先に待つのは滅びしかないと心すべし。
努力を怠るべからず。
罪を罪とも思わないことこそが一番の罪であり、あの世で「自らを苦しめる「戒め」」となるだろう。
多過ぎかな?」
国王「いえいえ、誠に立派なお考えだと思います!」
未だ平身低頭で只管言ってくる国王に、僕は色んな意味で感服した。
国の為、保身の為もあるだろうが凄いと…