第60章 穏やかな日常
『その死ぬ気弾というドラッグによると、強い執着、目的へ向けて5分だけ死に物狂いで取り組むそうです。
(閉じ込められたネズミが死に物狂いで籠を壊す映像が流れる)
つまり、死に物狂いで取り組んでいる最中、優先順位が変わることが目の前で起これば…
(適度に飢え閉じ込められたネズミが籠を破ろうとする中、視界に入った御飯に目を移し、死に物狂いで食らい付き、凄まじい勢いで食べ始める映像が流れる)
これらの点から、彼が周囲への被害をそれほど重視していないことが証明されます。
以上から、警視総監の先見の目は間違ってはいなかったのだと思われます』
「いえ、警察として当然の義務です。
現行犯ですからね」
『しかし国際指名手配としたのは英断だと思われます』
「ありがとうございます。
だが人助けに目的を変える映像もありました。
特定の大切な人の為ならそちらを優先しそうですね。
はたまた見知らぬ人でも助けに飛び込んでいけるかはわかりませんが」
『微妙な所ですね。
命に関わるなら助けるでしょうが、自ら邪魔だと傷付けてましたし』
という見解がTVを通じて持たれていた。
この世界の主人公は自分達(沢田綱吉とそれに近しい者達)だけであり
映らない人達は人間であって人間ではない、従って人権もない。
彼が町民達へした行為…それに怒る者は一人もいない。
彼がした態度、言動や行為等の数々のそれらは、そうとも受け取れる態度であった……
都合が悪いものは全て「言いがかりだー!」と一丸になって声高に叫ぶのだから、その判断もやや間違ってないとは言えるかもしれない。
少なくとも絶対に出さないようにしなければ…空中都市が危ない!(真剣)←顎に手を当て冷や汗を流す
しかし…5億年が経った後もなお、空中都市に現われることは無かった。
ケイト「そりゃ普通に過ごしていれば…そうはならないよね;」苦笑
恭弥「…彼が寄り添うのは…友人だけ。
知ろうとするのも見ようとするのも、家族と友人だけ。
それ以外とはろくに見もしなければ理解もしない。
彼が窮地に陥れば助けを得られて当然。
こちらが窮地になったとして、助けが得られたことは一度もない。
理解も…助けも……真摯に向き合うことすらも――
これを利用と言わず何と言う?」
ケイト「うん。よくわかってるから;」汗