第60章 穏やかな日常
逮捕から2週間後
『昨日未明、重傷を負わされた警察官が亡くなりました。
脱獄された日の晩のことです。
亡くなった男性はプロフェッショナルチームの先輩方と共に逮捕作戦に参加していました。
今回が初陣であり、窓を開けながら叫びかけるも気にせず走ってきたということです。
こちらがドライブレコーダーの映像です。
ミニパトに正面から突っ込む彼へ、窓を開け叫びかけるも
当の彼は一切意に介さず真正面から衝突、勿論エアバックが出ましたが…
凄まじい勢いで車体は左回転のまま後方へ突き飛ばされ
シートベルトをした状態ながらも窓から放り出され、ミニパトが塀に激突。
上半身が塀とミニパトに挟まれ、心肺を潰されたとのことです。
辛うじて昨日の昼までは生存していましたが、脱獄された晩、時を同じくして死亡が確認されました。
医師からは「ただただ全力を尽くした、力及ばず申し訳ない」とコメントが残されています。
乗り合わせていたもう一人の男性警官も重傷を負っており、未だ意識不明の重体です。
頭を強く打ち、内臓もいくつか破裂しており、未だ生死の境目を彷徨っている状態です。
そのぶつかった衝撃は重さにして2トン。
火事場の馬鹿力という自供から見て、発狂させることで目の前の目標以外は全て無視して実力行使に出ているようです。
あの捕まった当時から一転し、殺人者に。
彼の現状、心境が気になります。
彼は一体、どんな気持ちで犯罪をし、殺人を犯し、脱獄に至ったのでしょうか?
そして今なお…彼は自首する気は一切ないようです。
父「ただ…ただ……無念です」俯&涙
パシャパシャ←写真によるフラッシュ音
母「あの子はね…皆を守るんだって。
朝まで…元気に、いってきますって…
「平穏な日々」を、守るんだって。
そう言って…憧れの、チームで…先輩達と一緒にっ……
沢山の…人達から、の…支えもあって……
なのに…なのにっ…
わああああああああああああああああああああああああ!!;」←崩れ落ち号泣
パシャパシャ←写真によるフラッシュ音
先輩「彼は…勇敢な警察官でした。
ええ、とても期待できる、優しい若者でした。
地元の子供にも好かれていてね。
時折自慢げに話すんですよ。
この人達が、その笑顔こそが、守るべき対象だって!」
パシャパシャ←写真によるフラッシュ音