第60章 穏やかな日常
『「未来で世界を救ったのだから、いい人だから、本当はそんな人ではないから」
2人の少女はそう口々に言い、釈放を求めています。
彼女達は彼から洗脳を施されてしまっているのでしょうか?
彼の犯した罪を、彼が償わなくて当然とする姿勢、その理由は一体何なのでしょうか?
オウム真理教の再来でしょうか?』
『知らなかったと、彼の母親からの供述。
更には犯罪をした後もなお、何事もなかったかのように平気な顔をして学校へ通い続ける精神構造。
事情聴取から、白目をむいた凶暴状態での記憶はあるとの見解です。
が、本人は頑なに「ごめんなさい。(やったことは)確かに悪いとは思ってる。でも違う、リボーンが」と供述しており
反省の色を見せず、「リボーンが」との言葉を連呼することから他の人のせいにすることで己の責任を少しでも軽くしようとしているようにも見えます。
もし仮に「リボーン」と呼ばれる人物のせいで凶暴状態になったとして、それをやめるよう言う等の手段もありますが
それも聞かないような人物だったのか、はたまた彼は巻き込まれただけだったのか関心が注がれます』
全国放送でされており、前人未到の凶悪犯として取り上げられていた。
そして…それは一日中に渡って続いていた。
(朝の番組は全国放送で潰れたが、後にニュース番組時以外では続報が流れなくなった)
『「もし並盛へ視察に来なかったら、偶然寄って目撃していなかったら…」
そう警視総監が声を震わせておりました。
たまたま目撃された彼は邪魔だー!という叫びと共にパトカーを破壊し、瞬く間に立ち去っています。
こちらはドライブレコーダーの映像ですが、横倒しに倒されています』
『『被害が増えていたのは確実ですね』
『どういう思考をもってそのような行動に走ったのでしょうか?
疑問が残ります』
『周囲に怒る人はいなかったのでしょうか?』
『そもそも疑問に思うことも無かったのでは?』
『している行為が悪いことだと指摘する声も無かったのでは?』
『どれほど悪いことをしても悪くないと甘やかされ続けてきたのでしょう?』
『悪いことをしていると指摘する人がいなかったのでは?』
『記憶があっても弁償も謝罪もしなかったのでしょう?』
1週間に渡り議論は続けられ、家庭裁判所から刑事裁判へと移行することになりました』