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Unlimited【ダンまち】

第60章 穏やかな日常





ケイト「さて…逆に学び舎以外で困った時は誰に言おう?」

「近所のお姉さ~ん♪」
トール「それだったら学び舎では意味ないだろ?;」

「あ、そっか」

先生「じゃあ皆で言いましょう?」

『さんせーい!』

トール「困った時はちゃんと言おう!」
『おー!』

トール「そして得意な人は名乗りをあげて助けよう!」
『おー!』

各々の役割を明確にしようと奮起する男子、トールが先頭に立って動き出していた。


ケイト「余裕がある時でいいよ?
潰れる方が大変だ。

できる限りのことは教えて、自分で考えて動けるように。

どんな道でもやり方でも構わない。
成し遂げることこそが重要」

『うん!』

ケイト「でも、迷惑はかけないように」

「あの…助けを求めるのって迷惑なんじゃ?」恐る恐る
ケイト「そんなことはない。

誰もが苦手なものはある。
気付かないだけで、その時になってから気付く困り事がある。

だから…助けること。助け合うことがどうしても必要なんだ。

一人で思い詰めて、抱え込んだままだったら…潰れてしまうだろう?」
「うん」

ケイト「されたら、嫌だろう?」
「うん!」

「後でこうしてたらって思っちゃう」

ケイト「それは、人として大事な想いだ。

大人になっても無くしてはいけない、大切なものだ。
皆、無くしてはダメだよ?」
『はい!』気を付け


ケイト「で…私の言う迷惑というのは、自分から他の人へ困ることをやり過ぎるなってことだ。

自分が人へする行為で、逆に同じことをされて嫌ならしない方がいい。
困っていて頼られたらどう思う?」

「嬉しい!」
「助けたい!」

ケイト「ね?

不安に思うことなんてない。堂々と言えばいいんだ」

「堂々と…」

ケイト「うん。
ここは…元いた環境ではない。

自分の在りたいように…在っていいんだよ」


じわっ

『わーん!!!』

号泣されてしまった時、ケイトは慌てふためき動揺しながらもおろおろと撫で回すばかりだった。


トール「先生…領主様…ありがとう…ございますっ」ぽろぽろ

先生達も涙しながらも拍手を止めなかった。


綺麗事だとは誰もがわかっていた。

それでも実践し現実になってしまえばそれはもう机上の空論ではない。
綺麗事という紛い物でもない。



現実に確かにある――綺麗な温かいもの(居場所)だ


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