第60章 穏やかな日常
箱を作ろう
1.箱完成
2.飾り付け
そう黒板に書いた後、ケイトはまた子供達へ目を向けて回っていた。
そして皆で作った所…やはり教えるよりも自分の作業に目が向いていた。
今度は…困っていることがある人は遠慮なく名乗りをあげること。
それに重点をおくべきなのかもしれない。
言われないとわからない。それは子供でも同じだろう、大人でもそうなのだから…
そして…その点について
「できるようにしていこうね?」と伝えた。
トール「先生、それでも気付けなかった場合はどうしたらいいですか?」挙手
ケイト「そうだねー。
どうしたら名乗り出やすいと思う?」
トール「え?」
ケイト「気を使っちゃう人は、どうしても言い出しにくいよね?
どうしたらいいと思う?」
トール「んっと…わかりません」
ケイト「うん。私もわかりません^^♪」
ずっこおー!←子供達がずっこける
「ぼー」
ぱた←遅れてずっこける子供
トール「せんせー;」
ケイト「はっはっはっ!
まあ…何が言いたいかというと、どうすれば話しやすいかは人によって変わるってことだよ。
同級生の中でも…どんな人なら話しかけやすい?」
トール「んっと…友達?」
「はい!(挙手)
お母さん同士が友達で、よく一緒に遊んでる人!」
「近所の兄ちゃん!」
「近所のお姉さ~ん♪」
「おっちゃーん!」
きゃっきゃっ!
そう次々に言い出す中、ケイトは纏めた。
ケイト「誰もが話しやすいなんて感じる環境なんて、実はないんだ。
気を許して、共に居られる。大切な友達だと思える。
そんな人が促したら話しやすいかもしれない。
それとなく、大切な人へ言い出せる。
そんな勇気を持って欲しい。
そして聞く者にも…どんな訳ありであっても拒絶しない寛容さを持って欲しい」
トール「器を広く持て、ということですね?」
ケイト「うん(頷)
皆の在り方は…皆だからこそだ。
その個性を…無くしてはいけないよ。
でも、人に迷惑かけない程度にね」
『はーい!』
僕が静かに見守る中、授業は続いて行く。
少しずつ、よい方向へ結び付いて行っていることが…当時の僕にもより強く感じさせられた。
神の力を得たからこそ――より、顕著に
それまでになかったものが埋まり、皆が得ていく感覚が…