第60章 穏やかな日常
ケイト&前世『うわああああああああああああああああああ』
魂が震える。
涙に濡れる。
慟哭が響き渡る。
両腕を両手で握り締め、縋った体制のまま咽び泣き叫んだ。
堰が切れたのもあるのだろう。
あの時…武士であったからこそ、男であったからこそ、涙を流し切れなかった。
洗い流し切れなかった分が、今ここに出て…涙となって出ているのだろうと、男として産まれた今だからわかる。
修業で疲れ切っていたはずの身体も…
無数の状況を想定しての風月流式修業(気絶しても一瞬で回復させられ休む間が皆無)←336ページ参照
それも新たに性能が上がった修業空間による5000年修業(2200ページ参照)によって心身共にクタクタのはずだった。
それも全て忘れていられた、彼女の純粋過ぎるそれに触れるだけで。
フレイヤが言うには、歪なのに透明で真っ白な天使のような魂らしい。
当時、言われた時には意味がわからなかったが…神となった今、目の当たりにしてよくわかる。
どれほどの理不尽に遭おうとも、結局は人を憎み切れない。
人全てを憎み切れず、当たれず…常にされた側の気持ちばかりを優先してしまう。
幸せであって欲しいから、あんな辛い想いをして欲しくないから、という一心のみで愚直な言動ばかりを取る。
世界を滅ぼすほどの憎しみは確かにある。今もなお抱き続けている。
だと言うのに、言動や表層には出てこない。
それが歪と評される正体なのだろう。
ケイトが「自分を大事にした所で誰が喜ぶの」と悪い癖を出した瞬間
フィン「僕は?」
ケイト「喜ぶ」即答
フィン「わかってるなら?」
ケイト「…大事にする!!;頑張る!;」ぐすん
未だ号泣が止まらないそれに、僕は頷き微笑みながら再び頬を撫でた。
すると仕返しとばかりに両頬を両手で撫で回してきた。
フィン「…何がしたいんだい?^^;」
ケイト「好き」ぐすっ
フィン「…ああ…僕も、同じ気持ちさ(微笑)
君が――(好きで好きで仕方ない)大好きだ、世界中の何よりも
目に見えない愛や繋がりの何よりも」
ケイト「……
(よくわからないけど、言いたいことは何となくわかる気がする)
好き、大好き、愛してるの次元を遥かに凌駕してる愛を抱いてるってこと?」
フィン「ああ」頷
チュッ
そして僕は唇を奪い続けた。