第60章 穏やかな日常
傷に僅かに触れるだけで自壊していくそれに
どう在るべきか…どうすれば支えになれるか、日々悩んでいる。
悩んでいるわけだが…どれほど悩んでも結論は同じ。
傍に居て、支えるぐらいしか出来ないのもまた事実……
それらを、全てを理解してこその結論があれなのだろう…←2351ページ参照
危機管理や把握能力はそのままに
ああなるのではと危惧したり、自ら自分を追い詰めるようなことはしない。
一緒くたにされたくないことに気付いたからこそ、前に進む為にも悪癖を払拭したい。
恐怖し怯える自分を、頑張って奮い立たせるのでやっとだけれど…頑張る。
そう震えながらも、涙を流しながらも、変わろうと奮闘している。
心外だと言ったこともまた、しっかり捉えてくれている。
その上で…前に進む為にどう在るべきか、向き合って考えてくれている。
自分のことだけを考えてのそれではない。
人のそれに耳を傾け、大事にしようとしてくれている。
無視しようともしていない。
だからこそ――今、苦しんでいるのだろう
それまでとの違いに、落差に、ショックを受けている。
それまでの与えられ続ける辛苦や苦痛を越える為に築き上げてきたものは一体何だったのかと…
その上でも前に進む為に頑張ろうとしている。
頑張ろうとしているが、かなりきつい。
精神的にも肉体的にもさぞきついことだろう、刻み込まれた習慣も抜けない。
それほどに日常化していた。
辛苦や苦痛だけではない、という戯言は全く意味をなさない程に…←1789ページ参照
姉は普段自分のことばかり、母は虐待時以外では愛し、
父は己のストレスや気分を最重視し、母や姉や自分は所有物=意思の無い道具扱いをしサンドバックとする。
育ての家族と出会うまで、本当の家族も…安寧すらも知ることも赦されなかった。
5000年…体感で1500年←1569,2354ページ参照
常に共に居ながら終末神を浄化して回るばかりで、次第に僕といることが当たり前となっていった。
傷が完全に癒えなかったことは痛いが、0ではない。
彼女が危険な目に遭えば、僕はどこにでも駆け付けて助け出した。
そのことに歓喜し、生みの母にしかしなかったそれを何度でもしてくれるようになった。
そういう人ばかりでないとわかっただけでも由としよう。