第60章 穏やかな日常
怯えた表情から、少しだけ払われたようにも見えるその笑顔に…
僕もまた、笑みを返した。
もう大丈夫だと。
そう想えるように…たとえそれが、一時だけというものであったとしても……
それでも…『共に、前に進んでいこう』と、鼓舞する為に――
オーバーだと感じたのは…何を今更、というつもりでもある。
今に始まったことではないし、元より生涯そうする気だった。
危機管理も、把握能力も大事だ。
だが、限度というものがある。
もし把握できる能力が優れていたとして、自分を自ら過剰に追い詰め過ぎるものであってはならない。
そんなことをすれば潰れてしまう。
それらの可能性もまた、彼女の性格や境遇から既に結婚前からわかっていた。
理解した上で、その上でも共に生きたいと願ったのだ。
それをもやっと理解してくれたようで…それも今になって。
そしてそれに…深く感謝してくれているようなのだが……
ケイト「全部好き、愛してる」
その想いが爆発したようで、視察が分身任せになりそうだ;
分身を共に作って置いた後、予め張り続けていた『周囲への不干渉結界』ごと自宅の3階のベッドへ転移する。
僕の腰に抱き付いてベッドに腰かけるよう押し倒し
ペロペロと仕切りに舐め回してくるケイトに対し、苦笑交じりに後ろ頭を右手で撫でてやり過ごそうとしているものの…
どうにも落ち着きが戻らない、その気配というか空気が濃厚で、かなり強い。
間違いなく…欲情している。
フィン「あー……ケイト?^^;
お腹に子がいる状態で
ケイト「分身に移動させてる」ぎゅむううっ
……どうやら…本気で離す気はないようだ。
言い出したら聞かないし、琴線に触れたのもあるのだろう。
それまで、そう怒る人も、諭す人も、歩み寄る人もいなかったのだから仕方ない。
というより…歩み寄ること自体すらも恐怖していたとも言える。
そんな状況下で理解者などできるはずもなく…というわけで、今に至る。
ケイト「……好き…大好き…」ふんふん&すりすり←フィンの胸元をまさぐり臭いをかぎ、自らの額を擦り付ける
どうやら長丁場になりそうだ^^;
経験上ね…
1500年ほど共に過ごした(肉体的には28歳にしかなってない)わけだが……
こういう時は決まって御飯の時間までは確実に潰れる;