第60章 穏やかな日常
ケイト「いや…いずれにしろ死んでたか…
その当時…助けは来なかったんだから。
痛い思いしか、何もなかったんだから…
それに耐える為には…己の全部を壊す以外になかった。
自分が自分である為の最低限のものだけを省いて…全てを、殺すしか……
表情、うまく変えられない。
声が出にくい、人に囲まれることに恐怖心以外抱かない
ついさっきあったことのはずなのに、思い出したいことも思い出せない。
……まあ…いっか……
本当にいて欲しいもの…
それが傍にあるだけでいい。
それすらも…まともになかったんだから。
話をまともに聞いてくれる人も、会話をしてくれる人も、寄り添ってくれる人も、共に遊んでくれる人も、共に同じ時を過ごす人も…
フィン『…服や食料でさえも、何も欲しがらなかったのは?』
欲しかったものは…――ちゃんとここにある
フィン『…化粧品とかそういうのもいるんじゃ?』
ケイト『いいよ。
だって…
本当に欲しかったものは、ここにあるから^^』
服の裾を握り呟く。
襲ってしまうぞと抱き締められる。
その中で…
慟哭が、心の最底で響き渡っている。
この感情の名が何なのか、今ではもう…わからない
でもそれでいい…自覚してしまえば、もっと多くの自分が壊れてしまうのは明白だから」
フィン(新居に越して、只管買おうとしなかったのは…
僕にああいう言葉を言ったのは、その為か)曇り顔
ケイト「だから…
真実を打ち明けようとも、助けを求めようとも…
いくら心の慟哭に負けて、警察や信頼できる人に縋ろうとしても……
『嘘だな』
わかっている人ならば、死んでも言えないような言葉
それをはきかける人が多過ぎる。
だからこそ捨てた、余計な傷を得るだけだから。
そういう人達の手によって殺されたのだ。
私も…私の心も…感情も……
それらの環境を司り、関わった全てによって…!
真実を伝えても、本人が信じなければ嘘へと変えられる。
本当にあったことでも、重みが本物であったとしても、如何様にでも捻じ曲げられる。
大したものではないと、本人の心など見ず決め付けられる。
それで更なる傷を与えている罪を犯しているという自覚も無いまま…地獄へ落ちる。
幾度と見てきた。未来も、変えられないそれも、全て…」ギリッ!