第60章 穏やかな日常
あちらではいい人に出会う運も無いらしい。
少なくとも…いい人ばかりというわけでもない。
出会えたとしても、普通にいい人か…本当にいい人は極僅かだけ。
ああいう風に相手の心を見ず勝手な物言いをする者、それも罵倒する者ばかりに出会う。
とてもやり切れないし、助けようとした結果があれでは報われない…;
その結果が…とっくの昔に壊れてる。というものだ。
想いを教えたくれた←2232~2241ページ参照
その後の行為、目覚めてから後に打ち明け、教えてくれた。
本来の自分がどんなものだったのかも、今はもう思い出せない…と。
それでも僕は――共に居る
あの誓い(2235~2238,2240ページ参照)は、決して変わらない。変える気はない。
たとえ――君がどんな形へ変わることになろうとも…
そう誓った。
そう言いながらいつものように抱き締め…後ろ頭に手を回し、優しく撫でた。
ケイトは泣きじゃくり、僕の胸元に縋り付くように手を握り締めていた。
当時の会話(目覚めた後)↓
ケイト「考えて何か表情でも変えれば殴られる。
何が殴られる蹴られる要因になるかもわからない。
次第に表情は薄れていった。
幼いながらに僅かでも出すのが恐怖の対象となった。
もう…何も感じない。
怒りも何も感じなくなった。
度重なるフラッシュバックで、何も考えたくない、思い出したくない、と…
耐える為に自分の全てを壊した。
だから…
とっくの昔に壊れてる。
その前までの自分がどんなことを考える人間だったのか…今ではもう、何も思い出せない。
あるのはただ…不快な思いをさせまいと頑張る、ちっぽけな自分だけだ。
それだけが残った、全部死んだ。
望むのは自分の死だけ。
何も助けてくれない。
求めた所で嘘つき呼ばわりされるだけ。
より痛め付けられるだけ、そして更に楽しそうに笑みを浮かべる、それを肴に…
好きなようにして、好きなだけ笑って、好きなだけ痛め付ける。やりたいように…他の全てを我の思う通りにならなきゃおかしいとばかりに。いたぶるだけいたぶっておいて、その自覚すらまともに持ち合わせてない。反省でさえも、償う心もまた同様に…
そういう人って、地獄落ちになるんだね。
もっと早くに知れてたら…私は……
死んでなかったかもしれないな」