第60章 穏やかな日常
真っ赤になりながら俯く中…
フィンは飲み物を私のも取り、フィンから見て右側にある切り株の上へ置いてから
草原で腰掛けたまま動かない私の傍へ寄り、隙間も一切ないほどに引っ付いた状態で私の右隣へ腰を落とし
そっと左手で左側に居る私の左肩を握り引き寄せ、寄り添い、
未だ顔を直視できない私を顧みず、落ち着くまで黙って待ってくれた。
風が私達を包み込む中、周りはとても静かで…
穏やかな心地よさを…
これまで以上の幸せを、ただただ堪能するばかりだった。
こんな何でもない一時(ひととき)が幸せだと感じることを、その時間があることを…――何よりも度し難く、代え難い幸せだと、心から私は想った