第59章 承継人
神様からの贈り物、愛。
それこそが、この世での人生であり…
今もなお自らの選んだ道を歩み、経験を積ませていただいていること。
何も言わず、何も手を下さず、黙って…この世でやりたいようにさせていただいていること……
それらのわかったことを、自覚と共に周囲へ伝えた結果…
神様から、最大級の賛辞を贈られた。
そもそもが…そのことを自覚することすらもないのだから、とも――
その時…何故、彼(沢田綱吉)のことをしきりにああ言うのか、あの世の仕組みを教えてまで必死に伝えてくるのか…
やっとわかった……
彼と、同じになって欲しくはないのだ…
彼のように、地獄に落ちて欲しくはないのだと――
大罪を積もうとも、それを認識も自覚すらもせず、繰り返し続けると…必ず地獄に落ちるのだと――
それに個人からの主観や基準に基づく善人も悪人も関係ないのだと…ようやく気付いた。
好きな人も嫌いな人も、その認識も、弁論も、擁護も…
一切合切、その全てが…処断の上では、何の意味を持たない。
決して悪者として捉えているのではない。
悪者として扱っているのでもない。
ましてや劣っているものと見ているわけでもない。
そこにあるのは――この世で為した全ての行い(言動)における「『大罪』への処断」しかない
自らがした言動の全てを背負い、何をどう生かし続けていくか取捨選択をして…共に生きていくしかない。
自らの基準で、主観で、どう在っても譲れない個を抱えながら…
『己』という器と人格を抱え、精進しなければならない。
無駄にはさせてはいけない…この世でしか得られないものは、確かにあるから。
死ぬその時まで…全てを糧にして器を拡げ、共に生きていく。
その時代を生きた、己というこの世における唯一の個として。
輪廻転生を繰り返したとして、その魂は同じと言えど、人格は全て別個。
時代も主観も基準も価値観も、何もかもが違う人格を積み重ね…どう在っても譲れぬ軸、精神などを受け継いでいく。
それこそが『承継』であり、ひいては生きるということへも繋がる。
そして魂の中でも、一際強い想いなど、魂にまで焼き付いた人格、信念というものは残り続ける。
そうしてまた…積み重なり、続いてゆく。
『神』という領域に達するまで、終わりない修業が…果てしなく――