第59章 承継人
好きか嫌いか、いいか悪いかは一切関係ない。
彼は憤怒と怠惰、傲慢の大罪を犯している。
何を為した所で決して逃れられはしない。
(憤怒:踏み止まらず、怒りのままに人を殺したこと
怠惰:悠々自適に過ごし、繰り返させないよう磨こうと努力もしない言動を生涯取り続けたこと
傲慢:周りが守り擁護するから裁かれない現実に甘え、死ぬ最期の瞬間まで好きにし続けたこと(本来ならわいせつ物陳列罪、営業妨害及び器物破損により『少年院入り』。「『それ』が無くて当然、そんな環境や周囲があって当然、恵まれているという自覚も無く感謝もしない」という態度を取り続けた点))
それまで自らがした言動…
その全てとどう向かい合い、背負い、その上で生き、どう今後の人生で反映させていくのか――
それを問われているのだと言う。
ケイト『でも私は気付かず無視したこともあって;』
神『努力しているでしょう、少なくとも。
障害による過集中であるのに対し、何とかしようと。
それをしているかしていないかだけでも違いは大きいですが?』
ケイト『ごめんなさいを言えなかったことだって;』
神『生みの父からの日常的な虐待で、怒気を纏う人、大声で威圧する人に対し声が出ない障害を負っていたとしても?
ちゃんと見てましたが。
その後、そのままではいけないと今も努力し続けているではありませんか。
よって、怠惰ではありません。
罪と向かい合わず、背負わず、反省もしない輩とは全くもって異なります』淡々
魂同士の会話…テレパシー。
口を介さず、思念だけで感情も思考も…何もかもが伝わり合う。
それを用い、あの世から交信されていた。
本来、あの世こそが私達の元居る居場所。
魂として在る場所。
しかし…赤子として産まれてから経験を経るに従って、帰りたい想いすらも無くしてゆく。
この世で得た体は、あの世から修業の機会を与えられた証。
天国に近いか、地獄に近いか、様々な位で分け隔たれ邂逅さえないはずの魂達が集結し相対する場こそが『この世』。
そして、体の死は修業を終えることを意味する。
夢の中でのそれらの会話を伝えると
フィン「中々貴重な体験だったね」微笑&なで
再び頭を撫でられる中、いつも通りに私は擦り寄った。
修業空間で皆の修練に付き合った後の昼寝、それから目覚めた時のことだ。