第59章 承継人
ケイト「もし…あいつと同じ環境で育ったなら、また…違ったのかな?」涙
がしがしがし
フィンへ零した愚痴…あの当時、慰めるかのように頭を乱暴に撫でられた。
だが、その通りには決してならなかった。
あまり関係がないことを、単に人柄と性格故のものだと…あの人生を経て知った。
全てを思い出してから、私は神と向かい合った。
神「おかえりなさい…
どうでしたか?
彼と同様に周囲が地獄へ落ちる、なんてことは無かったでしょう?」
ケイト「…うん」
神「ケイトの優しさを知ってしまえば…彼の優しさなんて、優しさと捉えられなくなる。
彼のが自分への優しさだけだというのは、明白でしょう?」
ケイト「いや、でも…」
神「何と言おうと…
『普通に』優しく接していただけ。
私が見てきた中で誰よりも、人を地獄へ導く才能がある」
ケイト(私に!!?;)ぎょっ!!
神「彼に」
ケイト「え?!;
ツナに!?;」
神「ええ(頷)
思い返してもみて下さい。
有事の時には
「一緒に戦おう!」
有事でない時には
自ら関わりもしない上、逆に距離も置く。
関わらないでと全身で現わす始末。
ありがとうもない。
まあこの一点は元敵と彼のどちらにも言えることですが…
そんな人に力を貸したいと思いますか?」
ケイト「そりゃ…思わないけども;」
神「都合のいい時だけ利用したいだけの関係でしょう?
互いに都合さえ合えば利用してはい終わり。
精神的なケアもなければ付き合いもない、気遣いもない。
そんなものが本気でいいと?
される側に回ってみなさい。
心にも傷にも寄り添われないまま、互いに利用の関係だけで終わりなど…そんな関係など虚しいだけなのですから」
ケイト「で、でも私はワンマンな所もあって
神「人助けの点だけでしょう?
それ以外で譲らなかった点はありましたか?
個人の主観ややりたいことを率先するよう言い含めておいて?散々合わせて譲っておいて?
彼の波風たてまいと自らの保身の為にする表面上だけのいい顔と
あなたの人の心を重んじてのいい顔は
全くもって違うものです。
いい点を必死にいくら考え出した所で同じです。
彼のそれは…中途半端な優しさでしかないのですから」
何で神様は、そんなに彼の否定をしたいんだろう?;