第59章 承継人
ケイト(断言した?!;)ガーン!!
『次元が違うのです。
彼は普通に優しく、甘いだけ。
苦しみや傷を抱え黙っているものに、静かに寄り添うことすらもしない。
そんな時間を取るよりも、自らの時間を優先する人です。
「話したくなるまで待つ」と言う姿勢もない。
その一言があるだけでも救いになるでしょう。
真に優しいものならばそうするでしょう。
ですが、一切しない。
傷をうかがうことも、一人で抱え込まないで欲しいという姿勢もない。
あなたと彼は、根本的に在り方が違うのです。
優しさの種類も、何もかもが…
経験あってのものではない分、違って当然なのです。
経験があったとしても、優しく有ろうとすることこそが「真の優しさ」なのです』
ケイト「えっと、殺されかけたり傷付けられたりしても優しく
『助けてくれる仲間、と言いながら寄り添ったこともない。
恐れながら寄り添いもしない。
傷付いている心を見ようともしない、救おうとすらしない。
本人にとっては、ただの「都合のいい相手」でしかない。
傷を短い間与えられ、支えもある中で抱き、与える優しさ。
長い間与えられ、ただ一人で耐え抜き、それでもなお抱き、与える優しさ。
それは――同じですか?』
ケイト「………違い…ます…;」
『優しければいいというものでもありません。
共に生きるというのは、都合のいい利用であってはならない。
一人のみから見ていいものではならない。
他も、己も、全てが生きなければ…
そう在ろうとしていない時点で、己しか見えていない。
一時的な優しさ、一時凌ぎの優しさでしかない。
共に生きる為のもの、その為に与える優しさではない。
独善的なもの、自らしかよりよくならないものは、優しさではない。
例え優しさに見えたとして、全く違うものです。
一人だけがいい思いをするためのものであってはならない』
ケイト「…シビアだね;」
『公平でなければ勤まりませんので。
これでも地上で言う閻魔様の役割を続けている神です、私情や好みを挟めば滅茶苦茶になります。
そもそもが…一方だけがいい思いをする、それに何の価値があるというのですか?』
ケイト「……うん…わかるよ……
でも…」
『?』