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Unlimited【ダンまち】

第59章 承継人





瞳が揺れ、双眸に涙が浮かんだ。


ケイト「……うん…ごめんね……

フィンや皆の優しさに甘えることになるけれど…流せるように、頑張るから……(ぎゅう)


今はまだ…この傷が癒えるまでは……こうさせて」

僕を椅子から立ち上がらせ、縋るように抱き締め胸に顔を埋めるケイトに、そっと背に左手を回し右手で頭を撫でた。


ひっく

時折聞こえてくる嗚咽、彼女の涙で僕の胸が濡れていくのを感じる中…

僕は彼女へ語り掛けた。



フィン「人のそれまで、無理に背負うことは無い。

その人の取った全ては、その責任は、それをした本人が取るべきだ。
その大前提は…君がどれほど努力しようとも、決して覆らない。


それが覆らない限りは、彼もその周囲も救えはしない。

だが…それを覆らせてしまえば、世界の全てまで狂ってしまう。

どうあっても救えない、それが現実であり結論だ。



深く考えても、背負い込んでも…それは決して変わらない。

背負うことも、助ける為に無理に合わせて振り回されることもない。


助けたいという欲求を満たす為と捉えられることもあるだろう。

だが…そんなことは無いということを、そのつもりが無いことを、既に知っている。



無限の責め苦、苦痛、それを与えられ続ける姿なんて見たくない。

前世での戦場での経験から、それが人一倍一際強いのも知っている。



ケイト…君は、どう在りたい?

そう捉われてもいいから助けたい…
そう望む愚直な馬鹿だということは、既に…十二分に知ってはいるわけだけれど…


それもまた…試されているんだろうね」


ケイト「ピクッ)……

在り方を?」ぐすっ←顔を上げる

フィン「勿論」頷

腕の中へ閉じ込めたまま、問答は続く。



フィン「君は…どう在りたい?」←もう一度尋ねる

ケイト「………


…(ふっ)←口端をあげる

在り方は、変わらないよ?(微笑)

自分で決めたんだ。
同じ思いをする人を、増やしたくないって…

守りたいから、必死になって身に付けた。
そのことは…根幹は、どう在っても覆らないよ。


私は…優しいことに力を使いたい。

迷惑だって思われようが構わない。

助けたいんだ…力になりたいんだ……
救いを求められなくたって…救いに行くんだ。

その為に…死に物狂いで、強くなったんだからっ」涙&微笑


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