第59章 承継人
ケイト「………うん(頷)
……(俯)
ねえ…」ぽつり
『?』
ケイト「私……どうすればいい?」
縋るような声が、小さく響いた。
川のせせらぎで消えてしまいそうな声が、僕達の耳には…悲痛な慟哭や悲鳴、叫び声に聞こえた。
フィン「………頑張れ。
自分で…選ぶんだ。
その上でも生きていく為に…
君が、君を見失わない為にも」
ケイト「私は……少しは…助けに、なれてるのかな?」
椿「そんな発言ができる時点で彼やその周囲との違いが明確化し過ぎておらぬか?」←ケイト指差し
アイシャ「しっ!あの者らを思い出させるな」
ケイト「私には……自信がないよ…」
初めて聞いた弱音…
苦悩し、試し、一つ以外は全て救えず…逆に傷付けられ殺されかけもした…
自分だけ地獄落ちしないことに納得も行かず…
その経験があってこそ、異世界の自分の全てが伝わってくるからこそ…
彼やその周囲、その世界を見るだけで吐き気を禁じ得ず、実際に吐くほど嫌うようになった。
ここはそこからすれば異世界だが、見ると同時に吐き気を催すこと、嫌いながらも好きという矛盾の謎を知りたいという理由で模索したが…
それでわかった経緯と現実は…逆に、ケイトを傷付け追い詰めてしまった。
フィン「間違えがあれば指摘するし、一緒に考えてくれる。
寄り添ってくれる、心に、感情に…愛情と共に……
だからこそ…僕は惚れた。そんなケイトだから惚れた。
助けになれてない、なんてことはまずないよ」
ケイト「私だって…フィンや皆に助けられてる。守られてる。
いつもありがとうって…想ってるし、ちゃんと伝えるようにもしてる。
でも……どうしても…」
フィン「認められないんだろう…?
救えない現実を、助けられなかったことも…どう在っても助けられないそれを」
ケイト「頷)…流し、切れない;
彼も、周囲も悪人ではない…
なのに、何で地獄落ちにならないといけないんだって…
救えなかった私も、地獄に落ちればいいのに、って…
無限大の自分も、嫌う中でも根底にあって…」
フィン「そこがどうしても引っかかるんだろう。
流すのにも時間はかかるだろう。
だが、今あるそれを…今、君がいる場所まで見失ってはならない。
それは…僕を、今いるここを、世界を…無下にするのと同じだ」