第59章 承継人
ケイト「何で…私なんか…」ギリッ
フィン「もっと自分に自信を持て」
ケイト「だから…そこが、困るんだよ」
フィン「いい加減な仕事はしないだろう?
言動も、その全ても…相手の心や心情を常に念頭に置こうと努力している。
それは、ちゃんと伝わっている。
だからこそ僕達は君を慕うし、信頼もする。
死に物狂いで助けようとされたからね。
それも…自分の命と引き換えにしてでも…
そういう馬鹿一直線な…直向き過ぎて、最初は面食らったものだけれど…
される側としては…とても、喜ばしいよ。
そこまで気にすることはないんだと思う。
目にはいる全てを地獄落ちから救おうとした所で、聞かない人の方が数多くいる。
聞き入れるような人なら、言われる前から既に地獄落ちルートを逃れているさ。
彼とその周囲は試され、地獄落ちした…それだけのことだろう?」
ケイト「俯)そこが…やなんだよ」
フィン「……だが…」
ケイト「?」顔を上げる
フィン「見えているからと言って、全てを救える訳じゃない…
君もいい加減、そこに踏ん切りをつけた方がいい」真剣
ケイト「でも…大事だから…いい人だから…大切だから…知ってしまってる世界の認識が、こびりついてしまってるから…ただの、他人じゃないから…
どうしても……許せないんだよ…
あんないい人が、何でって……
知ってるのに、何もできない無力感で押し潰されそうになる…
こっちのそれも、自己満足かもしれない。独善的なものかもしれない。
それでも…
どう捉われてもいいから、助けたかったのにっ……」ぽとっ
フィン「そこまで気負うことはないよ。
君の責任ではないだろう?
人の責任まで背負っていては、潰れてしまう。
それが君に与えられた課題なんだろう?」
ケイト「……それとこれとは別物だよ…
はっきり言って、それぐらいに違いが顕著だから」
フィン「思い入れ、か…」
椿「どうにもならないことを気にしていても辛いだけだぞ?」
フィン「なるほど。
だから嫌いになったんだね。
彼の全てが…嫌いになって…嫌いになるしか、道が残されてなくて…
苦悩の果てに…その道を選んだというわけか」
困ったな…
どうあっても…彼女の気質上、気にしてしまうだろう。
だからこそ…気に掛けていたものが爆発して、今の話し合いに陥っている。