第59章 承継人

フィン「自分よりも…

他人が傷付けられる様を見て、痛みを感じない感性、
それがどれほど狂ったものか、わからないんだとも思うよ。

もし…何かしら感じていたのならば、是が非でも止めに入るはずだ」

椿「手前は…まあ、似た境遇があれば共感できるな。

全てに共感できるわけではないが」

ケイト「うん…私も同じだよ」

アイシャ「人によって共感できる範囲は異なる、ということだね？」

ケイト「うん…


地獄落ちになる要因って…そういう傲慢さにあるのかもしれない…

「地獄に落とされたとして何があるの？」って聞かれたことがある。


でも…彼やその周囲には…ああいう言葉を吐き掛ける奴等にだけは教えたくない。
お前達には教えたいけど…

まあ…ここにはいないからいいか。

助けも来ず、地獄の責め苦を常に受け続ける」

椿「何時間だ？」
ケイト「時間？！！


そんな程度の低いものじゃない！

無限の責め苦が、一瞬という僅かな時という概念も無いほどの短い間にされ…
それが永遠と続いていく。

何日何年何百年、果ては何千年も居続ける奴までいるんだぞ？
反省が足りないって…



不条理を自ら与えるっていうのは…かなり罪深いんだ。
あの世にいけばわかるけど…されても仕返しできないのは辛いけれど…している奴はこの世でこそやりたい放題だけれど…

その分だけ…人に与えた痛みも苦しみも、全て刻み込まれるんだ。
彼は初代の頃と合わせて二回目だから…もっと更にきついと思う」

フィン「どれ程の善行を積もうが、決して釣り合わないだけのそれをなしてしまったからね…」

ケイト「問題なのは…
それまでの全ての善行を天秤にかけても、殺しや傷付けた言動を全て背負わずに勝手し続けた罪の方が大きく重かった。

それを自覚していないこともあるのかもしれない」


それが大きくなり続けている光景を、見るに耐えなかった…

何より、救いたかった…



その結果、得たのが…救えない彼や周囲…
それも、ああいう心ない棘の言葉の嵐だった。

だから更に…罪は増していく一方だった…
私が干渉することで、更に…余計に増えていった……


どうあっても、止められなかった……」