第59章 承継人
『精霊界』と呼ばれる異空間…
それは、精霊の森全体に張り巡らされた結界によるもの。
時間の流れは全く同じだが、一つだけ違う点がある。
不浄な存在の「干渉」及び「侵入」を防ぐことだ。
不浄な存在とは…負の感情のままに力を振るい、言葉を振るい、他を傷付けることを厭わない存在にあたる。
簡潔に言うと、悪事をしても何も感じない人。
殊更、感情のままに他を殺しても傷付けても何も感じない人、自らの主観が全てとばかりに他へ強要し横暴を振る舞いそれを是とする人。
他にも、他から奪う人、他を貶めて優位に立とうとする人、他へ全てを擦り付け保身に回る人、自らの勝手な都合に合わさせて当然とする人、個人の主観から見える見解を他へ強要する人、それを否定することを許さず高圧的な言動で他の見解を尊重しない人、孤立させることへ繋がることを知っていながら鬱憤晴らしの為に悪口を言う人、特定の人物の名を出しその者の悪い噂をばらまき続け他がその者へ悪感情を抱く様を見てほくそ笑む人、等々…まだまだ多岐に及ぶが長くなるので割愛しよう。
テロップ『既に長い』
早い話、その精霊界自体が精霊神によって『神の領域』とも言い換えれるほどに『神聖な空間』となっている。
不浄な念=負の念に決して染まらず善行を貫く者しか入れない。
そもそもが…自らという個を抱いている時点で、勝手をしているも同意義だ。
在りたいように在る、譲れないものの基準が違う、価値観が違う、重きを置く点が違う。
その勝手を通すこと、自らが自らである為の信念を貫くこと、それを生きると言う。
生きる上において、何かしら勝手を通そうとするのは避けられない。
妥協でもなく理解でもなく自らの勝手だけを押し通し、他のそれは一切赦さないとする人もいるが…
それこそが驕りであり横暴であり邪念である。
なのでそういう人は入れないようにもしている。
他への理解を怠り、一面を見ただけで決め付け、偏見とも言える一部分だけで悪人だと理解した気になって語り続ける。
共に暮らしているわけでもないのに、当人から心を開かれてさえもいない人が理解者ぶって語る様はさぞかし滑稽だろう。
少なくともこれらの輩は地獄に落ちるし、神からも嫌われている。
逆に神から好かれるのは力を誇示せず、自らの都合で振り回さず、寛容かつ高潔な秀逸タイプ。