第59章 承継人
前々世では…たった2年ほどしか居れなかったが、充実していた。
精霊王の言うように、揺るぎない意志・信念を持っていた。
誰にも媚びず、決めた姿勢を貫き続ける。
たとえ他から何と言われようとも、軍勢を率いて言われようとも、決して流されない。
決めたことは、軸だけは決して曲げない。
ただ、軸以外ならある程度妥協する。
相手の線引きも、価値観も、基準も…聞かなければわからない。
未知のそれになど、未知のままでは合わせられるはずもない。
それでも出来得る限りのそれは必ずする。
そして何と言われたとしても、そういう捉え方・見え方があるのだと…それごと自分を否定せず受け入れる。
と言っても、最後のは僕達と出会えて受け入れられるようになったらしい。←1458~1464ページ参照
後ろには、決して変わらないものしか残っていない。
前に進むしかない。信じるしかない。
たとえ裏切られようとも、どれほどの傷を負うことになろうとも、信念を貫くと。
どんなに痛くとも大事にする、大切にする。
それだけは決して投げ出せず、生きる為に必要なのだと悟ったそうだ。
だが大切にするのは人ばかりで、自分のことなど微塵も大事にしない。
自分を大切にする点を学ぶべきでもあるのだが…とても難しいそうだ。
だが――だからこそ、全幅の信頼を寄せられる
丁寧で、優しく、信頼されて任されたなら全力で取り組もうとできる。
些事なことであったとしても、どうでもいいことであったとしても変わらず…
そういう姿勢が、周りを惹き込んでいく。
自分を蔑ろにするケイトだからこそ、僕が護らなければと駆り立てられてしまう。
その困った一面(自分を大事にしない点)もまた魅力なのだと、後になってから知った。
アイズ「ケイト…約束」
ケイト「うん…
その…子供が、欲しいの?」
アイズ「頷)うん。
お父さんと、お母さんのように…大切に、育てていきたい」
ケイト「………
アイズは…それでいいのか?」
アイズ「うん…
私は、もっと…ケイトと、求め合いたい。
深い所まで、全部…」真剣
ケイト「…わかった」真剣
その日…行為こそしなかったが、神の力によって神に至ったもの同士で子を作るという行為が敢行された。
本人からの申し出を受け、腹を決めたらしい。