第59章 承継人
その一線を越えた先――その後でどうなるのか、傷付けてしまうのか、それらを憂慮しているのだろう
だが…心配など必要ないことは、闇に飲まれた後での行動で既に証明されている。←2206~2208ページ参照
君が…その魂をもって、確固たる信念をもって止めたこと……
その生き方は…信念は――自らを想って死んだ者達は復讐も、傷付ける行為も望むような者ではないという証明の為だということも……←410ページ参照
フィン「たとえ待っているのが破滅だとして―
その後で得たものを、君はもう既に――知っているだろう?」
精霊に導かれて、オラリオへ来た。
ダンジョンへ潜る為に冒険者となることを選んだ。
実際には、力を悪用する精霊を取り締まる目的だったかもしれない。
精霊王は異空間の聖域と化した精霊神の森と精霊王の森と精霊の森、ケイトはそれ以外で。
だが…ノアールに導かれたお陰で、ここまでになった。
ここまで回復した、ありのままでぶつかれるようにまでなった。
そんな君に――僕は救われた
得たものは――必ずある
ケイト「…ああ…知っている」
フィン「君が、育ての家族をああ言った理由もわかる」
ケイト「……夢のような日々の中で…最後に得たのは、それまで以上の辛苦だった」
フィン「僕も…唯一の守るべきものだと知った。
知ったその日に、喪った――
その辛苦は…痛いほどにわかるよ」
ケイト「旅人の…人達も…皆、優しかった
大丈夫だって…思ったんだ…思いたかった。
でも――現実は――――」俯
ああ…知っている。
いつでも…唐突に残酷になる。
如何様にでも姿形を変える。それも…自らの望まない方向へ……
その言葉の後の沈黙に…僕は頷き、答えた。
フィン「大丈夫だ…
また、取り戻せばいい。
たとえ――また思い出して破滅をしようとも
再び記憶を――人格を喪おうとも
何度壊れて、滅ぼされようとも――
何度でも言うよ。
ここに在ると…
癒えるその時まで、病める時も、健やかなる時も――共にいると」
そう笑いかけながら、双眸を優しく見つめながら頭を撫でた。
見つめ返すケイトの双眸が揺れ、涙が溢れだして頬を伝って落ちていった。