第59章 承継人
ケイト「どうしても……そこから先には進めない。
死んだ方が、周りに痛みや傷を与えないで済む。
少なくとも…たった一度だけで終わりだ。
そちらの方が…総合的に見て、一番最小限の傷で済む。
これ以上…地獄に居る必要もなくなる。
自分を殺すことが…傷付けることが…
傷付けられる時に皆笑ってたから、楽しいことだと思った。
いくら嘆いても、泣いても、叫んでも、何をしても…無駄な足掻きだった。
皆、自由に動く。1人にするばかりか理解しようともしない。
いくら傷付けようが、された側が泣き叫ぶ様を見ようが――それに笑みを浮かべる『悪魔』ばかりだった
それ以外いなかった。
現われなかった。
その実体験が、鮮明に焼き付いた光景が…
焼き鏝で焼き付けられたかのように、決して癒えない傷となって離れてくれない。
それ以上の自我?
持ってた頃も…あった。
本当に……夢のような日々だったよ(微笑)
(2057~2058ページ参照)
心を解放?
とっくに試した…
(育ての家族が殺された場に駆け付け、妹を抱き上げる光景が浮かぶ)
試して、壊れた。
(「死んだように生きてればいいんだよ!」
嘲る男性の笑い声が響く)←37,1051ページ参照
消えていく微かに残った温もり、それすらも…絶望にしか変わることは無かった。
もう――涙も出てこない
残ったのは――『何を賭してでも他を護る』という信念だけだ
たとえ――自分を犠牲にしてでも
自らを殺してでも――「敵も、味方も、誰も、かもを…傷付けずに、殺さずに守る『信念』」だけだ
自らの為に?大切に?
…それを持って何になる?
そんなものは幻想だ――
たとえあったとして…いずれ喪った時に得る哀しみを倍増させるだけだ。
また、再び――壊れ行くだけだ
…………
死ぬのが…怖いわけじゃない。
死よりも、恐ろしいものを知っている。
既に、知ってしまっている。
自らの軸は…どうあっても譲れないものは、さっき言った信念だ。
だとして…これ以上の線を超えたら、必ず壊れる。
もし…蘇れば、どうすればいい?
その一歩は…破滅しか呼ばないというのに……」俯
フィン「たとえ破滅だとしても――それは始まりに過ぎない」真剣