第59章 承継人
自分としてどう歩むか、今後どう進んでいくか…
人生の中で、どう在るか…
臨機応変に立ち回ることが出来ない障害を背負いつつ、どう動くか…
精一杯やったのなら、その時の自分にとってできる限り頑張ったということ。
ならばいくら言われようが仕方がない。
そう捉える人もいるということだ。無数にいるのだから避けられない。
その真理を見定めた上で、自分で決めた。
胸を張って、それが自分だとして生きていくと――
そしてできてない所は、少しずつできるように頑張っていく。
そうすることで、己という存在を指し示していくと。
心の在り方、感情の流し方…
感じるものを無にすることはできない。
だが、その上でも生きなければいけない。生き続けていかなければいけない。
生き残った者として、後の世代へ『精霊王の半身』を受け継がせなければいけない立場として…
たとえ受け継がせたとして、ケイトの中の不老不死はなくならないらしい。
恐らく…精霊王が自ら望んだことなのだろう。
初代ヘレイオスとの続き、それらも重ねた上で…
ウレイオスの頃、一度何故滅んだのか調べたらしい。
周囲の狂気に飲まれ、悪事をしたものを片っ端から殺していったらしい。
そうしたら全ての生命体が滅んだとのことだ。
もったとしても100年だけだったという。
極限の苦悩と絶望の果てに開示される光。
そこに立たねば、気付けなかっただろう些細なもの…
その全てを目の当たりにしたからこその結論なのだと思う。
ケイト「前の自分ではいられない。
知る前までの自分には、もう…戻れない。
でも――地獄は…いくらでもある
前世(戦国時代)での…死臭が漂う戦場の記憶。
父上を殺された、母上をはやり病で亡くした。
前々世でも…同じだ……
知り合いも…旧友も…竹馬の友も…何もかもが、先に死んでいく。
自分ばかりが残されて…共に死ねなかった。
もう…何も失いたくない。
その希望が、現実という名の絶望に黒く塗りつぶされるのは容易かった。
そしてそれは――今も続いている
もし希望を持ってしまえば、これ以上の自我に目覚めてしまえば…
私は、耐えられない。
前世も、前々世も、今も…ウレイオスの頃の記憶も…その全てが、赦してくれない。
悪夢として見た時――必ず死ぬ」