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Unlimited【ダンまち】

第59章 承継人





自分としてある為に…

そう語るケイトに、僕は深く頷いた。


本当に…大きくなった。

見た目ではなく、中身も…

どぶ川のような汚泥しかない環境の中でもなお、どれほどの負の念や邪念であろうと…
決して飲まれず、溺れてもなお振るわせない。

頑とした鋼の如く堅牢とした意志。
魂がそれを赦さない。
決して、何があろうとも――



それこそが…己が己である証だと言っていた。



ケイト「自分が自分を示すことは悪だと
環境によって…そこに長くいたことによって思わされた。

何か言うだけで貶された。
何をしようと好き勝手に言われ続けた。


助けようが、力になろうとしようが、それらは全て無視される。
同じ思いをさせまいと、どれほど必死に動き続けていようが…

周囲は自身の抱く価値観で勝手に決め付け
聞こうともせず、理解しようともせず、あからさまに全てを無視し続ける。

そういう人達以外、私の前には現れなかった。



誰かが傷付くくらいなら、同じ辛苦を一時でも味合わせるぐらいなら…
無い方がいいと思った。


人との関わりも、自らの声も、意思も、感情も、心も…何もかもを殺し続けた。
仕打ちを受け続ける度、抵抗もしないで受け入れ続ける内…次第に声が出なくなった。
表情がうまく変えれなくなった。泣くことも、笑うことすらもまともに出来なくなっていった。

人を前にすると、声が出なくなった。
聞かれない限り、どうしてもという状況にならない限り、人へ話しかけることすら出来なくなった。


死んでしまえばいいと考えて、初めて自らナイフを胸に突き立てた時も…十字架が止めてくれた。

同じ辛苦を与えることを、私は何よりも恐れていたのかもしれない。



それで――辛苦を与える言動を取った人となることを



でも…そんなのは、関係ないんだ。

誰も、いずれにせよそんな所なんて見やしない。
理解なんて出来やしない。

理解してもらおうと動こうが、限界はある。


だから…理解者は、フィン達だけでいい。

理解されなくてどんな目に遭おうが、隣に居てくれるって信頼できる…何よりも大切で、欠かせない人達だから(真剣&笑&嬉し涙目)

それでも傷付けたくないから…その譲れない点も、念頭に置いといて。
できる限り傷付けないように精一杯頑張って、これが自分だって胸を張れる人になりたい」


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