第59章 承継人
精霊王の半身――
それは…ただ『精霊』の奇跡に伴う魔法やスキルを血で与えるのでもなく、その更に上の最上位に位置する…
半身とする行為は…『精霊』にとって長い長い生涯の内、「唯一」とされるものである。
『精霊』は己の血を分け与え、また与えた者から血を分かち、共に体内の血を分かち合うことで得られる。
互いに血を与え合い、全く同じ血が流れることで自らの内に秘める『真の力』を引き出せる『半身』とする行為…
その行為の名は、『血の契約』……←2175~2180ページ参照
それに伴い、神の力とも言える魔法が目覚めた。
しかし、共通点はそれだけではない。
受け継いだ者の誰もが研ぎ澄まされた感覚、「霊感」を持ち…力を決して悪用しなかった。
悪用しない人間にこそ、力を手にする資格がある――
そう、精霊王の半身となった初代は語っている。
そして今もなお…それは初代の精神と共に脈々と受け継がれ、承継され続けている。
2800年の時を越え、神が下界に下りる神時代よりも遥か依然とされる古代から…一時も欠かさず……