第58章 堕天
ケイト「え?
ちゃんと安静にすればいいんでしょ?;」
フィン「安静の文字を辞書で調べ直してくれ;」顔顰め
そう言いながら頭を撫でると、その手へ擦り寄ってきた。
犬か猫の可能性が極めて高い…
と言うより、目をキラキラさせながら尻尾を振る姿が犬そのものだった。
尻尾などないはずなのに…何故か、それをも感じさせる程。
そうして…
行為のこともあってか、気付けば夜中の2時を回っていたので寝かしつけることにした。
だが…
ケイト「安静ってどこまでが安静?
絶対安静なら体験したことあるけれど、安静ってどの範囲まで?
具体的に言ってくれないとわからないよ;」
フィン「…とりあえず…明日説明するから今は寝てくれ;」瞑目&苦笑
ケイト「えー;
私の為ならいくらでも徹夜してたくせに…」むすっ
フィン「…それは…僕の愛が落ちたという意味かい?
少なくとも、そう捉えて…受け取ったと?」
ケイト「首を横に振る)ううん。
そうじゃなくって、私もフィンを理解する為なら徹夜したいの!」ぐっ!
恩を返したい!恩を仇で返したくはない!
そう拳を握り締めながら、ふんす!と鼻息を荒くするケイトに対し…
フィン「…^^;
本当に僕の為を思うなら寝てくれ^^;」
ケイト「やだ」
フィン「…頼むから」苦笑&ぎゅうっ
ケイト「むにゅ…」うと
フィン「……
(そうは言っていながらも、眠気に負けそうだね…
まるで…眠気に負けまいと泣きじゃくる赤ん坊みたいだ)
とってもわかりやすいね…」くす
その様子があまりに愛しく、温かな眼差しを向けながら頭を撫でた。
ベッドの上で抱き寄せ、温もりを与え合うように…今日も静かに、ただただ寄り添い続けた。
ケイトに未だ宿る、『負の固定概念の根幹(生みの父から乱暴に与えられた温もり)』を洗い流すように――
あれ(生みの父)のお陰で生き延びられはしたが、その行為の意味を7歳だったから理解できなかった。
たった一度のことなのがせめてもの救いか…
しかし、助けを求めても泣き叫んでも助けが来ない現実に打ちのめされた。
それが『周囲全てに絶望を常に抱くべき』とする彼女の負の概念だ。
いくら今が過去とは違うと言っても、同じ状況に陥らないとは言えない。確証も無い。
だが、少しでも前を向いてくれれば――