第58章 堕天
フィン「……」
ケイト「軽蔑…したろ?
…結局……話せなかった…
最初は…フィンがよかった…
穢されていることも、言えなかった……
死んでた方が…よっぽどよかった……
『…――誰か…助けて……』
叫びたい感情も、想いも…何もかもを消さないと正気でいられない…
まともな環境じゃない、世間一般の普通でもない…
普通に出来ることが出来ない、できないことを誹られ続ける。
最初から消える為に産まれているのと…何が違う?
いくらされないってわかってても…何だって言われても……
私には……男性も…人間(人類)も……世界も……(ぎりっ!&ぎゅうっ!)←拳を固く握り締め、歯噛みする
何もかもが……何もかもに…絶望していないと…
フラッシュバックを起こした時に…とても――正気でさえもいられない
…保つことさえ儘ならないんだよ――っ(天を仰ぐ)
撫でられるのも、何をされるのも…全部…
こういうフラッシュバックをした後だと…同情によるものだって、どうしても思ってしまう。
好きだからとか、大切だからとか…もう……何も、わからない。
愛情が何なのか、何が優しさなのかさえも…もう、わからないんだ。
死んでしまいたい――
自分が死ぬことでしか…それにしか、希望を見出せない。
それを考えるだけで喜びを禁じえない。
それでたとえ、哀しむ人が出ようと…それしか、
それしか……求めたいとは、思えない……
こんな自分を好きになんて…とても、無理だ」
ぎゅうっ
黙ったまま、強く抱き締めた。
フィン「………」
ケイト「迷惑防止条例違反で、生みの父はその後でつかまってたらしい。
自分が生まれる前から、そういうのをやってつかまってた。
犯罪者の娘って祖母から吐き掛けられたり、金貰えるなら耐えて当然だとか
吐き出せない、出せない
当然だろ、いつもそうだろうが、無駄だ、消えろ、死ね
そう自分に言い聞かせてないと…気が狂いそうになる。
……ごめん…
感情、吐き出して…話して……
困らせるだけなのに…こんなの、急に話されたって。
ごめんね…」
フィン「僕の言葉は…信用できないかい?」
ケイト「ぶんぶんぶん!!)ううん」←凄まじい勢いで首を横に振る
フィン「僕が…怖いか?」
ケイト「……………怖く…ない」