第58章 堕天
もし仮に計算してやっていたのならば、最初から惹かれたりなどもしない。
無計算で行き当たりばったりで、人の為なら潰れ掛けることも一切厭わず考えない。
損得勘定すらもまともに出来ない。
欠陥だらけで不器用で、力のうまい使い方もできないし考えようともしないし、人の為以外には使おうとすらしない。
テロップ『ひどい言われようだ;』
たとえ女神の君に言われようと…僕は、彼女が一番尊敬に値する同族(パルゥム)だと思うよ。
そんな彼女だから惹かれた。
その欠点ごと惚れた。
欠点があるからこその魅力でもある。
完璧にやろうと頑張っている割に…回り道になっているのにも気づかずに熱心に取り組んでいる。
計算も無く、裏表も無く、猪突猛進に…(くす)
伝えるのも不器用で、障害も環境もあって余計に下手になってしまっている。
しかしそれを一切嘆いていない、立ち止まってもいない。
力になれるのならなろうとし、自分のことを投げ出すなと言われれば頑張ろうともする。
素直に聞き過ぎて、真っ直ぐに捉え過ぎて変な方向に行ったりもする…
「真っ直ぐのままでいてくれよ?」と言った時
気を付けのままその立っている位置から一切動かなくなった時は、本当にどうしようかと思ったが…^^;
フィン「ふふっ…^^」
あの当時…不思議と、笑みが零れた。
純粋で、素直で…直向きで…そんな人は、早々いない。
これほどに守りたいと思ったのは…
僕よりも何よりも守りたいと願ったのは――君(ケイト)が、最初で最後だ
正直言うと…フィアナよりも、高潔たる真の英雄だと捉えている。
危害を与えてきた人にまで、その命を直向きに助けようとする馬鹿げた…
いや……訂正しよう。
海よりも深く、空よりも高い…懐の深さと優しさの為せる言動。
純粋に――人を思い遣れる心なのだろう
欠点も、長所も、その全てがケイトであり…それごと全てに惚れてしまったのだ。
テロップ『早い話、存在そのものがフィンにとってドストライク』
その通りだ(真剣)←瞑目し、腕組みしながら頷く
テロップ『返事が速過ぎる;
即答の域を逸脱している…だと?!』
必ず…守ってみせる。
彼女のいない世界など、守っても仕方がない。意味が無い。
そうはっきりと断言できる所まで来てしまった…