第57章 追憶
フィン「…ああ…
…ネオボンゴレのボス…沢田綱吉、か」
ケイト「あいつが奪った命、殺し、その業が消えることは無い。
思い悩みながら、どうしてもそれしかない、そういった懊悩があるなら話は別だが…
その未来において、実際は…一切殺しに対する悩みも無いまま、その場の怒り任せで殺した。
あまつさえ、その殺しを繰り返さない為の修業もまともにしていない。しようとすらしない。
全てがあいつにとって都合のいいように回り、挙句の果てには疑問も一切感じない。
殺しをすれば、人間は何かしら感じるもの。
それが一切無いことに、周りは…どう反応していた?
何事も無いように接していただろ?
世界を救う?そんなこと、あいつの頭には欠片もねえ。
私も――いや…少なくともあいつよりは消させたくないって思ってたし、ちゃんと考えてたよ。←1455~1464ページ参照
本当に…いい奴ってのは何だろうな?
何も感じないことに対する葛藤もあったら、それで普通とも思うんだろうが…
何分、あいつの普通は…こっちにとっての普通じゃないし…快楽殺人者じゃない分、余計厄介だ。
人を自分の手で殺したことに、喜びも何も…あいつは感じていない。その異常さもわかっていない。
たとえ抱いていたとしても、抱いていなかったにしても…繰り返さないよう頑張るのが普通…
殺しに対して嫌悪感を抱いているなら、避けたいと願っているなら、猶更するもの。
でも…それをするだけの重みも言動も無い。
あるのはただの言葉だけ…「傷付けたくない、殺したくない」と言う。感情だけ。
それを実現する為の行動も積み重ねも一切無い、だから重みも無い。
だから余計……なんていうのかな…合わないんだ、全面的に。
世界ごとひっくるめて、全てを意のままにって…自分にとって都合のいい、そんな想い描いた理想全てが実現化しているような…箱庭みたいで。
世界も…残酷で、理不尽で、皆何かしら抱えている…
でもあいつには何もない。
傷付けても殺しても、それを繰り返さない上で解決できる手法を編み出そうとも努力もしない。
そしてさらには看過され続けて当然といったように周囲から何の否定も反論も無いまま受け入られ、本人も当たり前のように享受し享楽し続けいる……
はっきり言って…世界ごと気持ち悪いんだよ、その全部が。丸ごと」