第57章 追憶
フィン「それほど弱いものだと思ったか?
僕達は、守られなければならないほど弱い存在だとでも?」
ケイト「降りかかる火の粉は少ない方がいいでしょ?」憮然
フィン「それはそうだが考えて欲しい…;」眉顰め&嘆息
ケイト「巻き込まれるのも嫌だろうし
フィン「巻き込まれるのも承知の上で!
君との結婚を選んだんだ!
大切な人が…何を賭してでも護りたいと願う人が、そのような状況下にあると知って、どう思う?」
ケイト「知るかよ…そんなこと」真剣
フィン「!!」瞠目
ケイト「どう思おうが、それで誰かが巻き込まれて死ぬぐらい…
そんなことにならないなら、どう思われようが知ったこっちゃない。
あんな結末に陥るぐらいなら、どれほどの清濁だろうが辛苦だろうが併せ呑んでやる。
お前達が死んだり、傷付くこと以上に重いことなんて――この世にはないんだ…」真剣
フィン「……なるほど…言うようになったね」瞑目&苦笑&嘆息
ケイト「その為になら…いくら勝手だと捉われようが構わない。
覚悟の上だ。
誰かを喪うこと、それ以上の辛苦があるはずがないだろう――?
それと同じように…
誰かの命を奪うことの業は、何をもってしても消えることなどありはしない」
フィン「…ティオネ達は
ケイト「あれはやむを得ない事情だろ。
あいつらに対しては…嫌悪感を微塵も感じないよ。
問題なのは…人を殺した後、何の変化も無い人間だ。
それを背負いもせず、自分のした殺しに対して嫌悪感も抱かず、何も感じず
笑い、何事も無かったように振る舞うばかりか、繰り返さないようにしようともしない…
知ってるだろ?」
真剣な表情のまま…ケイトは問いかけた。
周りではアルとディの歓迎を手厚くされ、賑やかさが増しつつあった。
5000年に渡って異世界を回り、終末神を倒し続けた。
その旅の中で…殺した後、何も感じない人間は山ほどいた。
しかし――極めて異質な世界が唯一、一つだけあった。