第57章 追憶
精霊王「享年52歳―
藻に絡まって動けず溺れ死ぬという、何とも間抜けな最期だった――
全く…じゃから言っただろうが…←寂しそうに俯く
お主が持てと!
だというのに持たんから」ぶつぶつ
ケイト「肝心の子を守れなければ意味がないだろう?
…と言っても、我が血脈の次世代は十字架に選ばれた者からしか生まれない。
少なくとも…そう、遺伝子へ魔法をかけた。
神の力をもってしても解けない、強力な白呪術と魔法を掛け合わせた神の力とも異なる別種の力で…
まあ、つまりはだ…子は宝だ!^^」にかっ!
精霊王「お主は全く変わっとらん;」ぶつぶつ&むすーっ!←頬が膨らんでいる
ケイト「ああ。変わらないもんさ…そう簡単にはな」微笑&俯
そう俯くケイトからは別の存在を感じた…
恐らく…ヘレイオスという存在なのだろう。
魂にもまた、霊体…すなわちこの世で得た人生から人格が生まれ、宿る。
全てが一つの魂として…
ケイト「どこまで行っても……結局は…死なないことを望んでしまう。
合う合わないで、簡単に評価を変える生き物だっていうのにさ……」苦笑
フィン「………(俯く)
……僕が…」ぽつり
精霊王&ケイト『ん?』←フィンを見やる
フィン「…僕が、ここ(精霊王の森)に居ていい道理はないはずだ。
本来なら……人間も…誰も立ち入っていい聖域ではない」
世界で最初の精霊、精霊神が産まれた神聖な場所――精霊神の森
上位精霊ではなく、神の力を手にするまでに至った精霊…その子もまた神の力を生まれながらに有している為、全てが精霊神となる。
世界で2番目に産まれた精霊、精霊王が産まれた2番目に神聖な場所――精霊王の森。
上級精霊がぽんぽん生まれやすい程の『濃密な神聖性』で富んでいる神域。
そして…下級精霊から中級精霊が生まれやすく、最も数も多くいる精霊の森。
下級精霊が生まれやすい大聖樹…そんなものとは違う。
そう言い切れる程に「精霊の森」の規模も大きく、僕達が作った国の500倍はある。
その人間禁制の歴史を…守ってきた歴史を、今僕は穢しているのではないか。
ふと――そんな違和感を…異物感を抱かずにはいられなかった。
フィン「…それまで…守られてきた歴史は……(ぎゅっ)←拳を握り締める
果たして――穢していいものなのか?」真剣