第57章 追憶
精霊王「その2日後…ヘレイオスは死んだ(ぐびっ)
あやつ…もし途切れたらどうすると尋ねたら、こう答えてきおった。
ヘレイオス「なめるなよ?
俺の子は…こうと決めたらしぶといぞ(にやり)
人を守る為なら、自らの死を伴ってでも成し遂げようとするだろう。
だが…責任感だけはかなり強い。
何とかして世継ぎが産まれるまでは頑張ってくれるはずだ。
それに…お前達が死なせまいとするだろう?
信頼してるんだからさ^^//」ふっ←気恥ずかしそうに俯く
ふっと息を漏らしながら笑うあやつは…本当に、お主とよく似ていた。
それも当然か…魂は同じなのじゃからな」ふっ←同じように目を伏せて笑みを浮かべる
ケイト「……随分と、さらけ出させてもらったからね…^^」くす
精霊王「うむ…よう覚えとるわい^^」くっくっ
2人が笑みを浮かべて肩を震わせ、互いに杯を交わす中…僕は一人考え込んでいた。
それらの顛末を聞いた時…全ての謎が一つに繋がった気がした。
何故、ヘレイオスが神の因子の証(神の力の一端)である「クリエイト」を、晩年から使えるようになったのか←291~294ページ参照
何故、精霊王が自らの骨を「十字架」にし、結界付きの『非常時に精霊王の力を使える「媒介」』にして渡し、子孫に受け継がれていくようにしたのか←1037~1042,1044~1046ページ参照
何故――英雄譚アルルェーチェが、あれほど最初に神の血を引き継いでいると前面に押し出していたのか…
何故、精霊王は人間嫌いのくせケイトを全面的に信じ愛するのか……
それらの謎が一気に解き明かされた。
全てが通じ合っているからだ、ケイトと精霊王は…
血の契約を交わした半身同士であり、
今もなお子孫さえ続いていれば、契約もまた続く…
言葉も無く、通じ合える――唯一の『半身』だから……
精霊の森、精霊王の森、精霊神の森…
それらは誰にも知られてはならない。知られてはいけない。
もし仮に知られてしまえば、誰かに話してしまえば…無となってしまう――←1863~1867ページ参照
だからこそ事実になぞらえた上で、ある程度ぼかす為…『英雄譚アルルェーチェ』という形にしたのだろう。
それらの真実を目の当たりにし――僕が場違いな存在だと感じずにはいられなかった。