第57章 追憶
そして…
アル「あうー?」
ディ「きええ!!」
こぉんっ!!←脳天へ拳骨
アル「だうっ!」
ディ「めえええっ!!」
ずごすぅっ!!←脳天へチョップ
親の背を見て子は育つという言葉通り…
僕達の真似を何度も何度もやり続けていた…;
それも、僕達が止めようとするまで――
余談ではあるが、肝心の新たな服は無難なものが選ばれた。
動きやすく、身綺麗なもので…普段着と礼装の間のようなものにあたる。
スポーツ着としても使える上に、普段から着ていてもし賓客に出会っても失礼に当たらないようなものなので…普段から愛用すること間違いなしだろう。
それから…精霊王の森へ移動した。
ただでさえ産後は体が弱っており、抵抗力もまた落ちている。
それらの療養の為、ひいては赤ん坊達のお披露目もある。
肝心の「血の契約(1037ページ参照)」について、精霊王から教えてもらった。
血の契約――
それは…自らの血を分け与えるのではなく、分かち与えること。
互いに血を与え合い、全く同じ血が流れることで自らの内に秘める『真の力』を引き出せる半身とする行為…それは、「血の契約」と呼ばれた。
精霊を害してきたのは、人間だけだ――
怪物(モンスター)は皆敵、人は皆…味方の振りをするばかりか、善人の皮を被った悪魔だ。
純粋に相手のことを思い遣れ、考えられる人間など…そうはいない。
もしいたとして、助けたとして…そこに付け入る輩しか居ない。
だが――
あの日…精霊の森に入れぬ輩が全て怪物によって殺され、精霊の森までが危機に陥った時
彼が現れた。
彼の名は――ヘレイオス
底抜けの善人で、齢50になったばかりの晩年に国を飛び出した国王。
継承権は己にこそと喚く周囲に辟易とし、雨乞い等人の幸せを願う神職である白呪術師だったにも拘らず王位へ押し上げられたこともあり
30年近く周りの期待を受けて頑張り続けたものの…やりたくてやっていたわけではないのも相まって、王位を信頼できる人間へ渡して国を出て…流浪の一人旅をし出した所だった。
助けを求めたのは…今の精霊神。
精霊神の親が怪物の大群を惹き付けると共に、倒そうと奮闘し続けていた。
その奮戦虚しく、最後には倒されかけるわけだが…その折に助けに割って入ったのが彼であった。