第57章 追憶
感情が爆発した時…
その矛先は、近くにいる者へと向かう。
僅かなことでも癇に障り、苛立たせたという理由で当たり散らす。
傷付けるか、殺すか…
その暴力は、身体だけに飽き足らず精神にまで刻み込むだろう。
そして…その傷を与えた者だけは少しは落ち着く。
彼女が…ケイトが、生みの父からそうされ続けてきたように――
そうされ続けることが当たり前だった…
だから、される側の辛苦がわかるからこそ…決して当たるまいとし続けている。
それが故に…爆発するその瞬間まで、耐え続ける。
それ所か、人に当たり散らす直前に強引に自力で止め、「人に当たるぐらいなら「そのお前」を殺せ」とまで思い詰め、即座に自らを殺そうと行動に起こす始末だ…
それらもまた、十二分に理解していた。
彼女の他を想い過ぎるが故の暴走も、精神構造などの本質も含めて…
だからこそ…愚痴を吐いても大丈夫だと、本音をありのままにさらけ出して大丈夫だと伝え続けた。
しかし…それでも、嫌な思いをするのではないかと気遣うばかりで…;
今のように自然と話せるようになるまで、かなりの時を有した。
そうして…服選びに関してもいかんなく発揮している……
ケイト「私が着たいのは…!
フィンが欲情するような服だ!!!!」ぐっ!!←拳握る
フィン「ぶふっ!!
げほごふごほげぼっっ!!!!」
ちょうど渇いた喉を潤す為に水を飲み始めたタイミングでのことで、気管に全て入ったような錯覚に陥ると共に
テロップ『入ってる入ってる!
気管に飲もうとした分の水が全部入っちゃってる;』
フィン「………なんだって?」裏声←声も体も震えている
ケイト「フィン!いつでもカモン!!b」キラン!&微笑
震えながら絞り出した声、冷や汗交じりに引き攣った笑み。
それに対して、ケイトが親指を立てた左拳を僕の眼前へ突き出した…
その次の瞬間
ごぉんっ!!!!!!!!!!
アスフィ「身重のくせに何を考えているのですか!!!!!?」
ケイト「ヒリヒリ&くらくら)……
……ごめんなさい;」ふらふら
まだふらつくのか…頭を前後に揺らしながら、謝罪された;
まあ…悪い、事では…うん、無いのかな?;(腕組)
テロップ『一体どこへ迷走しているのだろうか
(淡々としたツッコミのつもり)』