第57章 追憶
フィン「どうにも…君1人を無視し好き勝手にし続けてきた周囲を、いいように捉えようとしているようにも見える。
元から君は、その節が強い方だが…」
ケイト「うん…恐れ入ったよ…
そんな先の所まで見据えてるなんて……
でも…それを不幸にしてまで、晴らそうとはどうしても思えないんだ。
それぐらいなら、自分を殺してしまえって…どうしてもなっちゃう^^;(俯)
その時は――止めてね?」
フィン「勿論」きっぱり
言われるまでもないとばかりに、僕ははっきりと伝えた。
それに驚いたように彼女は瞠目したが…
数秒後に、再び笑い…満面の笑みを浮かべていた。
その闇が、たとえ人から与えられたものであっても…
それは、自らが自らであるが故のもの。
喜びも、絶望も、苦しみも…哀しみも……
身に起こる全てが理不尽なものだとしても、人為的なものだとしても
その感情は、決して拭い去れはしない…過去もまた、同様に……
それまでのされてきた全てが、自分という模り…
型抜きのように、はっきりとした輪郭を自覚する為のもの。
光も闇も、全てひっくるめて自分だと――ケイトは悟った。
そう言おうとしていたが…それを止めた。
爆発した時に苦しむのは、自分自身に他ならない。
そしてまた、その姿を見た周囲も…その時近くにいた周りも苦しめることにもなり兼ねない。
その後で彼女は苦しむだろう。
自らを周り以上に責めるだろう。たとえ誰も望んでいなかったとしても…
自らの死を望み、再び粗末にしようものなら…僕は、正気ではいられない。
ケイト「…………闇に飲まれて…暴走しないとは限らないもんなあ。
吐き出さなかった感情が暴発すれば、言動が乱暴にもなり兼ねない。
光も闇も…始祖の、ただの純粋エネルギーとして、今でこそ使えているけれど…
やっぱり…闇だけだと――」
どうなってしまうかわからない
彼女は短く、不安そうに呟いた。
杞憂に終わればいいけど…とも。
闇が、それまでぶつけれなかった、爆発した感情がどう矛先を向けて暴れ狂うのか…
何を壊してしまうのか…
それが…何より怖いと――
闇に飲まれかけた時のケイトを思い出しながら、僕は静かに抱き締めた。←2124ページ参照
闇に飲まれても正気である為に必要なのは――光だから