第57章 追憶
ケイト(どうあっても…消せない。
闇も、理不尽に…
一方的にされてきたことも、それに伴う感情も!!)ぎゅっ!&ぎりっ!!←拳を握り締め、歯噛み
そんなケイトに僕にできるのは、その感情が処理できるまで…静かに、寄り添うことだけだった。
ケイト「……………フィン…」
フィン「…ん?」
ケイト「………わかったよ…」
フィン「何がだい?」
ケイト「…どれほど憎んでも…どれほど怨んでも…周りは、決して変わらない。
やめてと言っても、やめてくれなかった。
感情の捌け口にして、八つ当たりの道具にして、笑って幸せを享受して、享楽していた。
でもさ…そこには…憎しみや怨みしか、怒りしか…何もない。
負の感情…闇…それもまた…自分が、自分である為に欠かせないものだ。
消しちゃ…いけないんだ」
フィン「…おかしいね」
ケイト「へ?」瞠目
フィン「それで…散々苦しめられてきた君が、言えた立場なのかい?
自分を…その命を粗末にするばかりか、感情も心も…精神までも、未来までも奪ったのは周囲だ。
怒って然るべき。怨んで当然のことを彼等彼女等はした。
そのことからは目を背けてはダメだと思うけれど」苦言←眉間に皺が寄っている
ケイト「えっと…?」首傾げ
フィン「要するに…何でもいいように捉えない方がいい。
君の心証は察するに余りある。
その(人が与えてきた)闇も、纏めて受け入れる心積もりなんだろう?
自分の闇として――
だが…闇を吐き出さずため込んでいたら、いざ爆発した時に壊れるのは自分の方だ。
それを忘れてはダメだということは、胆に銘じておいてくれ。
忘れないように、しっかりとね」真剣
大事なことなので2度言う中…
ケイトは「あ!」と一言零し…ゆっくりと頷いた。
そして…「ありがとう」と笑みを浮かべながら言い、僕の右手を両手で取って握り締めてきた。