第8章 死闘と目覚め
オッタル『フレイヤ様、何故それほどまでに気になるのですか?』
フレイヤ『うふふっ…知りたい?』
オッタル『できるのならば』
フレイヤ『いいわ。彼女はね、高嶺の花なのよ』
オッタル『?と言いますと?』
フレイヤ『誰の手にも届かないほど、心を奥底に、奥深くに閉じ込めて、殺すことで生き延びてきた花。
近くで見たいわ。あの子…なんて、純粋で歪なのかしら。
人に歪められながらも、ひどいことをされて何も感じないほど殺されても、それでもなおあそこまで愚直に突き進む。
純粋に、相手を想うが故に突き進む。相手にその痛みを味あわせない為だけに!たとえその想った者に殺されかけようとも!!
だからかしら…彼女が欲しいの。今ここにいないことが、とても残念なくらいにね』
オッタル『…わかりました。連れて参ります』
フレイヤ『待ってるわ』微笑
オッタル「来い!!!!」構え
上段の構え、自分の本気を受け止めながら叩き伏せる気だ。
笑っても泣いても、これが…最後の勝負!!
大丈夫だ。恐怖はもう吹っ切れた。
どちらが傷付こうとも、相手には治す手段がある。
人を傷付けて同じになるのが怖かった。
街の人達と同じになるのが怖かった。
圧倒的な力もまた、それの象徴だと重ねて見ていた。
でも…もう、恐れる必要はない!!
その恐怖でさえも乗り越えずに、戦えずに、どうやって超えるつもりだ!!!
もう、決めただろうが!!!!
護りたい。
ドックン
二度と、失いたくない。二度と…奪われたくない。
違う…それだけじゃない!
帰りたい。
ドックン
帰りたい!!
今ここで気絶したらどうなる?その瞬間から、二度と帰れなくなる!
フィンに…皆に、二度と会えなくなる。
全身が痛い。筋肉が悲鳴を上げている。これ以上動くのは限界だ。
魔力を纏って強化させた全力を振るい続けた、出し続けた結果がこれだ。
その限界も超えろ。超えろ超えろ超えろ超えろ!!超えろお!!!!