第57章 追憶
車の外装に関しては…小さかった。
どれぐらい小さいかというと…パルゥムの僕と同じ身長の高さ、119cmしかないのだ。
ケイトが言うには、119cmではなく119.1cmだそうだ;
バスと同じ雲タイヤで、今は地面についている状態だとしても小さい…
実際の本体(雲タイヤ無し状態、箱型)は縦1.8m,横3.6m,高さ1.191m。
走る際にはタイヤが形成され、地面から11cm浮く。
だが…驚いたことに、乗る人数などの設定を変えれば中の内装も広さも変わるそうだ。
ついている機能もどうやらそれだけではないらしい。
入ろうとドアの取っ手に触れた瞬間、ドアがその者が入りやすい大きさへと瞬時に変わった。
というのも、車全体に「市民カード登録での読み取り(2031ページ参照)」と同様の機能があり
読み取る対象を、魂も込みで全体の筋肉量や柔らかさやガタイ等に変えたらしい。
防犯の為に乗り込める人の魂を市民カード読み込み&記憶機能もある。
つまり、ドアに手をかけず後続の者が続いて乗り込む際
足を掛けただけでもその相手の全てを読み取り、一瞬で『大きさと形状』を乗り込みやすいそれへと変えるのだ。
内装に関しては異空間になっており、かなり広い。
外装の縦1.8m,横3.6m,高さ1.191mが
内装では縦6m,横12m,高さ3.97mと、ピッタリ10/3倍になる。
高さの拘りの理由がわかった。
「サン(3)キュー(9)な(7)」と、常日頃から支えてくれることへの感謝も送りたいのだということも…
そして椅子もまた同様に、座る者の体型やガタイ、腰痛などの持病にも合わせて負担もかからず居心地の良いよう形状も柔らかさも温度も変えてくれる。
そして車中泊ができるようある細工が施されているらしい。
椅子についてあるスイッチ一つで、椅子である雲クッション素材のソファーの形状が寝台へ…それも枕付きのベッドと布団一式になるそうだ。
それもまた…寝る個人へ合わせた最高の寝床に…;
更に決してぶつかり合わず、互いにとって最良の距離を開けてくれる。
毛布の持ち込みも必要なく、車内の温度や湿度に合わせて厚みも温かさも変わり、自動で合わせてくれる優れもの…らしい。
優れ過ぎだと言ってやりたい…この時点で。
だが…まだトイレと食事が残っている。