第57章 追憶
そこで――夢は覚めた
懐かしい夢だった…
でも、それ以上に…また同じ苦痛を味わうことに、ひどく恐怖して身を震わせた。
ベッドの上、窓からの晴天と思しき太陽の煌々とした日差しの中…鳥の鳴き声が耳を刺す。
私は上体を起こしてからあの頃(保護された後)のように両膝を抱え、自身を抱き締めて俯いた。
ここに来てから…保護されてから、ずっと泣いていた。
泣いて、泣いて…泣き続けて…周りの声なんて聞こえなくて…
泣くことが無意味だと知った。
決して変わることのない現実に打ちのめされて…
立ち上がるしか…剣を取るしか、道は残されてなかった。
それも…過去も知ったとしても、ケイトは変わらず寄り添ってくれた。
皆も、受け入れてくれた…
今までと変わらず…大切にしようと接してくれていることにも、ちゃんと気付けた。
でも、胸の中の絶望が何度も囁く。
自分が一番辛い時には助けてくれなかったくせに!
同じ想いを知らないくせに!!
竜を隻眼にした後、殺されて死んでいく皆を見送りながら未来へ飛ばされたこともないくせに!!!
駄々をこねる子供のように、そう叫び、今も喚いている。
何を求めているのか…わからなくなる。
でも…それ以上に思うのは――
視界に入ったケイトの抱き枕を手に取り
両腕でしっかりと抱き締めて、私は顔を埋めた。
こんこん←ドアをノックする音
アイズ「?」←ドアへ目を向ける
ティオナ「おっはよー!」
ばあんっ!←飛び開ける
返事もしない内に開けられた先には、ティオナがいた…
ティオナ「あ、ごめん。まだ寝てた?」
アイズ「首を横に振る)ううん。今起きた所」微笑
私は――欲張りなのかもしれない。
あの時…この時代に来て保護された時、ケイトと出会えていたらと渇望してやまない。
胸の奥のどろどろがまだこびりついて…少し、変な感じがした。
最初こそ小さな違和感…
それ(違和感)が大きくなるのに、そう時間はかからなかった。