第56章 プール大会
・赤ん坊の面倒
フィン(手練れだ…)
ケイトの様子をソファーに座ったまま見ながら、僕はごくりと固唾を飲んで見守っていた。
場所は1階の暖炉の前、ケイトの動きに着目していた。
さっさっさっさっ
更には哺乳瓶を手に煮沸消毒。
それを加速させた後に、手早く粉ミルクの粉を次々に瓶へ入れていっていた。
フィン(仕事人だ…)
ケイトの当時の仕事ぶりは鬼だった…
おぎゃあ、と泣き出す直前
おも言わせぬタイミングで、ケイトはまるで読んでいたとでも言わんが如く、身をアルとディの前に滑らせ動く。
フィン(手早い;)
手慣れたように素早く
泣き出した瞬間にオムツを外して拭き、オムツを取り替える。
アル「う?」きょとん
何が理由で泣いていたのかわからなくなるぐらいの混乱
目を丸くする中もなお、ケイトは流れるように無駄なく、隙もなく次の動作を淀みなく進めていた。
さっさっさっさっ
作り置きの分も含め、4つ哺乳瓶を素早く精確に作り上げ湯煎していた。
「出来立てが一番だろう?」と僕が不意に思って尋ねた所、「空間収納庫に入れて時間を止めておくから大丈夫だ」と言われた。
そして更に創造魔法で愛情を込めながらそれをベースに無数に出てくるようにも設定できたという。
味の濃さも空間収納庫の取り出し画面から変えることも可能。
といった機能も最近取り付けられており、随分と楽になったらしい。
例の綺麗なオムツも、同じ機能で無菌かつ清潔な状態のものをいつでも取り出せるようにしている。
拭くのに必要な濡れティッシュもまた然りだ。
フィン(僕は…あやすぐらいしかできていない気がする…;(がくっ&チーン)←肩を落とす
いや…気を落とすよりも妻の補佐を!
せめて…せめて、ケイトの疲れを癒やす側に!!)ぐっ!←意を決して拳を握りながら立ち上がった
そう決意したタイミングで、ケイトは不意に笑みを浮かべながら言葉を発した。