第56章 プール大会
当時(先述)、魔力金属がケイトの暇潰しで作られていた所で…
それで作られた武器は、つい最近(プール大会の日の夕暮れ頃)出来上がったばかり。
その使い勝手を知る為、ロキ・ファミリアが次の遠征で持たせてもらう…といった感じだ。
それから程なくして…魔力金属は知らぬ者もいないものとなり、憧れの目が多々向けられ、王族や貴族は権威の象徴と称して挙って買い占めようとし出した。
勿論冒険者を優先しつつ、一瞬で神石(2067ページ参照)で作れるようにしておいた。
ただし武器や防具への成形は鍛冶師でないとできないようになっている。
魔力金属は、どれほど魔力を流し込んで同調したとしても一切変形されず、原子レベル以上に超高圧縮されており
曲がらず伸びず、魔力でありながらどれほど精神力(マインド)をつぎ込んだとしても「無限大分の1」も変形しない程の硬さを有している為
武器や防具への成形は、専門の鍛冶師でないとできないものとなっていた。
原理はよくわからないが、発展アビリティ《鍛冶》があればいとも簡単に形を変えられるのだそうだ。
他にできるのは《鍛冶》がSの人(椿)、あるいはヘファイストスやゴブニュという鍛冶に関与する神だけだという。
一度魔力金属の鍛冶に携わってもらった所、ヘファイストスやゴブニュ曰く『至高の金属』だそうだ。
「金属分子も金属結合も一つもないのに、金属とはこれ如何に?」というツッコミは聞き流された。
後に、試作品としてケイトの普段から使用しているオリハルコン繊維製の普段着や戦闘着にも線維化された魔力金属を組み込んだ所
より揺るがぬものとなったのは、最早言うまでもないだろう。
魔法攻撃も物理攻撃も衝撃さえも一切通さず、持ち主を護り抜く「一切変形しない鉄壁の鎧」と化したそれは『至高の一品』と呼ばれ
世界中の要人から注文が殺到することとなるのだが…それはもう少し、先の話である。